抄録
椎骨脳底動脈循環不全 (VBI) 17例と対照群30例における脳底動脈の蛇行, 延長, 壁在血栓の状態をMRIを用いて検討し, 脳血管撮影と比較した.VBI群では対照群に比して有意に蛇行を認め, 血管撮影での蛇行所見との比較でも高い相関を認めた.脳底動脈の延長も有意に強かった.また壁在血栓の存在も対照群に比べ有意に高率であった.危険因子との関連では, 高血圧群は非高血圧群に比べて脳底動脈の蛇行, 延長が強く, Htの上昇も蛇行と相関していた.MRIによる脳底動脈の蛇行, 延長所見は血管撮影とよく相関し, とくに壁在血栓の描出は血管撮影よりMRIが優れていると考えられ, VBIの診断の参考所見として有用と考えられた.