脳卒中
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高血圧性脳出血, 脳梗塞患者における血漿ANP, ADHと低Na血症
森永 一生大川原 修二
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1991 年 13 巻 4 号 p. 291-295

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抄録

高血圧性脳出血, 脳梗塞患者に対し血漿ANP, ADHを測定し, 低Na血症におよぼす影響について検討した.対象は過去1年間に当院に入院した高血圧性脳出血19例, 脳梗塞11例である.低Na血症発生例は, 脳出血例の4例だけで, 脳梗塞例は1例もなかった.脳出血例の血漿ADHは, 低Na血症の発生の有無にかかわらず急性期において高値であり, 以後漸減した.脳梗塞例の血漿ADHは, 各時期間で有意な変動を示さなかった.血漿ANPは, 脳出血の低Na血症発生例では, 急性期の値が低Na血症期まで持続する傾向にあったが必ずしも高値ではなかった.脳梗塞例では, 各時期とも有意に高かったが, 低Na血症の発症例はなく, 心疾患などの合併症によるANPの上昇と考えられた.以上の結果から高血圧性脳出血, 脳梗塞患者において, 急性期の血漿ADH, ANP値より低Na血症の発生を予測することは困難であるが, ANPの不適切分泌が低Na血症発生に関与する可能性は残された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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