脳卒中
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両側対称性脳動脈瘤
大橋 経昭松田 昌之半田 譲二
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1991 年 13 巻 4 号 p. 301-308

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抄録

1979年4月より1990年3月までの11年間に経験した脳動脈瘤428例中, 両側対称性脳動脈瘤は28例に認められた.多発性脳動脈瘤の中に占めるこの特殊な脳動脈瘤の特徴を, これまでの報告と比較検討した.発生部位は従来の報告どおり, 内頸動脈, 中大脳動脈に多く, 両者を合わせると90%を占めた.また内頸動脈に認められた16例 (57%) は, 1例を除きすべて女性であった.発生頻度は全脳動脈瘤の6.5%, 多発性脳動脈瘤の29.1%を占め, 従来の報告に比べ少し高かった.各脳動脈瘤部位別の発生頻度には大きな差はなく5~10%に認められた.神経放射線学的な破裂側の診断率は92.3%で, 多発性脳動脈瘤における従来の破裂側診断率と差はなかった.治療は, 1回の手術で両側の脳動脈瘤を処置すべきという報告があるが, 当科では2回に分けて手術することが多く, そのために予後に悪影響を与えた症例はなかった.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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