脳卒中
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穿通枝領域脳梗塞患者の白質障害とP300の関連について
山下 一也小林 祥泰木谷 光博小出 博己岡田 和悟
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1991 年 13 巻 4 号 p. 296-300

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抄録
慢性期穿通枝領域脳梗塞患者での白質障害, P300潜時, 脳血流 (rCBF) および脳萎縮の関連について検討を行った.対象は, 明らかな痴呆のない慢性期穿通枝領域脳梗塞患者32名 (平均年齢62.8歳) で, MRIにて撮影した基底核及び側脳室体部を通る水平断T2画像上, 脳室周囲の大脳白質変化 (PVH) の程度により, I群 : PVHが認められないか前角に薄く限局したもの9名, II群 : PVHが側脳室体部にも薄く広がるもの11名, III群 : PVHが脳室全周に明らかに認められるか局所的に厚く認められるもの12名の3群に分類した.3群間のP300潜時の比較では, III群ではI, II群よりも有意にP300潜時は延長していた.rCBFには3群間に有意差を認めなかった.脳萎縮の比較では, III群では, I, II群に比し有意に脳萎縮の程度が強かった.明らかな痴呆の認められない穿通枝領域脳梗塞患者において, 白質障害の程度と認知機能障害, 脳萎縮とは関連があることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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