脳卒中
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脳循環動態より見た非回転性めまいの病態に関する検討
金子 尚二澤田 徹栗山 良紘
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1991 年 13 巻 5 号 p. 373-377

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抄録
非回転性めまい, 中でも血圧低下に伴う症例の脳循環動態面よりみた病態を明らかにする目的で検討を行った.対象は, 日常生活において頻回に非回転性めまいを自覚する群 (A群) :4例, 急性降圧時において非回転性めまいを自覚した群 (B群) : 6例, および急性降圧に対してもめまいを自覚しなかった群 (C群) : 6例, 計16例で, それぞれの平均年齢は, 67, 52および57歳である.安静時脳血流量 (CBF) はArgon吸入法を用い測定した.症例によっては, 頭部挙上およびArfonad®微量注入を行い, 徐々にかつ段階的に降圧し, 血圧低下に伴う脳血流変化率は脳動静脈血酸素含量較差法により算出した.C群では, CBFおよび脳酸素消費量 (CMRO2) は正常範囲内であった.A群では, CBFおよびCMRO2は有意な低下が認められ, 慢性的な脳低灌流状態にあると考えられた.B群では, CBFは低下しているにもかかわらず, CMRO2は正常域にあり, 血圧低下時の脳への酸素供給予備能の減少, すなわち相対的な脳低灌流状態にあることが示唆された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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