脳卒中
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局所脳虚血後の神経細胞とアストロサイトの骨格蛋白に関する免疫組織化学的検討
金井 秀樹
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1992 年 14 巻 5 号 p. 560-571

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抄録

虚血後の神経細胞とアストロサイトの骨格蛋白の免疫組織化学的抗原性を, 中大脳動脈領域の虚血 (梗塞) 巣と遠隔部位 (視床, 黒質) で検討した.樹状突起の微小管関連蛋白 (MAP) 2の染色性低下は, tubulinや68kDneurofilament (NF) よりも早く, 30分虚血後の線条体に生じ, 有髄軸索では細胞体や樹状突起よりもtubulin, 68kDと200kD NFの染色性が長く保たれたことから, 虚血後の骨格蛋白の抗原性変化は, 蛋白の種類や局在部位により異なると考えられた。梗塞巣周囲と遠隔部位には, 軸索輸送障害による200kD NF陽性像が神経細胞体や樹状突起に出現した.遠隔部位の神経細胞骨格蛋白の染色性は, 2時間虚血後7日目から徐々に低下したが, 5~14日目にはtubulinの一時的な合成亢進を示唆する強陽性像も認めた.GFAP強陽性の梗塞巣辺縁の反応性アストロサイトにはvimentin, tubulin, MAP2も陽性であったが, 遠隔部位では陰性であり, 骨格蛋白の構成は両部位間で異なっていた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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