抄録
心疾患に対し水分摂取制限や利尿薬を使用している症例の脳塞栓発症時の脱水の関与について検討した.急性期心原性脳塞栓症患者連続44症例を対象とし, 入院時と4週間後の血中ヘマトクリット (Ht), 総蛋白 (TP), ナトリウム (Na), 尿素窒素 (BUN), クレアチニン (Cr) 値から水分欠乏量を算出し, 血液粘度を測定した.その結果, 心原性脳塞栓発症時には細胞外液欠乏と血液粘度上昇が認められた.また, 利尿薬使用群では非使用群に比して有意な細胞外液欠乏と血液粘度の上昇を認めた.さらに, 脳塞栓症再発群では非再発群よりも血液粘度が有意に高値であった.以上より心原性脳塞栓症において脱水は発症に寄与する重要な因子と考えられた.