脳卒中
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実験的脳虚血急性期の微小循環障害に対する組織プラスミノゲン活性化因子の効果
中島 伸吉峰 俊樹加藤 天美久村 英嗣早川 徹
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1992 年 14 巻 6 号 p. 613-618

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抄録

実験的脳虚血急性期にみられる微小循環障害に対する組織プラスミノゲン活性化因子 (t-PA) の効果を蛍光標識血漿法を用いて検討した.Sprague-Dowleyラットの左中大脳動脈を閉塞し, 30分後よりtPA (SM-9527 : 住友製薬) を1.6×105IU/kg/hrで150分間持続注入した.閉塞3時間後に蛍光標識血漿を静注後, 断頭屠殺した。虚血領域の血漿灌流微小血管長を対側半球の同部位に対する百分率で算出したところ対照群の38.4±6.9%に対し治療群では68.8±0.6%であり, 有意の増加が示された (P<0.01).また組織学的虚血変化領域の同側大脳半球に対する面積比を算出すると, 対照群の38.7±3.6%に対し, 治療群では24.8±2.6%と有意の減少を認めた (P<0.05).以上の結果はt-PAが脳梗塞急性期の微小循環障害を改善し, また虚血性脳障害を軽減しうることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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