脳卒中
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心原性脳塞栓症における血小板活性化の問題点
岩本 俊彦佐々木 明徳柳川 清尊高崎 優
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1993 年 15 巻 1 号 p. 23-29

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抄録

心原性脳塞栓における血小板の関与を知る目的で, β-thromboglobulin (BTG) 濃度を内頸静脈 (A), 肘静脈 (B) で測定し, BTG (B) およびΔBTG値 (A-B/B) を各々体循環, 脳循環中血小板活性化の指標として, 病期や経過, 画像から検討した.対象は心房細動 (Af) を有する心原性脳塞栓31例で計53回測定し, 対照にはAfのみの群, 健常群, 脳卒中以外の疾患群, 慢性期脳血栓群を用いた.その結果BTG (B) は脳塞栓慢性期 (75.5±66.3ng/ml) ばかりかAfのみの群でも健常群より有意に高く, 一方ΔBTG値は脳卒中以外の疾患群に比し発症3日以内の超急性期 (0.42±0.70) および出血性梗塞時に上昇したが, 慢性期 (0.22±0.75) には脳血栓群 (2.20±4.59) より有意に低かった.ΔBTG値には梗塞巣の分布 (CT所見) 差はみられず, 以上から脳塞栓の血小板活性化は心腔内で慢性的に生じており, 脳循環中では急性期初期に栓子閉塞に伴う二次性血栓の形成が関与していることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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