脳卒中
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15 巻 , 1 号
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  • 谷口 禎規, 佐藤 進, 関口 賢太郎, 井上 明
    1993 年 15 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    山形市の破裂脳動脈瘤患者の発生状況を調べるため, 1987~1989年の3年間に発症した市内在住者の破裂脳動脈瘤を地域内の全脳神経外科5施設の協力のもとに集計した.症例は脳血管写または手術により診断された123例と臨床経過ならびにCTにより診断された25例の計148例であった.発生率は19.9人/10万人/年であった.年代別の症例数は50歳台, 70歳台が共に36例と最多であったが, 発生率の最多は70歳台であった (82.2人/10万人/年).患者の年齢は23~85歳で平均58.9歳, 男性56例, 女性92例であった.70歳以上の症例では女性が男性の2.7倍と性差が著明であった.入院時grade (Hunt&Kosnik分類, 付帯事項除外) はI・II62例 (41.8%), III32例 (21.6%), IV13例 (8.8%), V41例 (27.7%), 来院時心肺停止症例は14例 (全体の9.4%) であった.今回の調査において年間発生率, 入院時最重症例の比率は他の地域で報告されている値に比べ, 高値であった.
  • 名村 尚武, 花北 順哉, 諏訪 英行, 水野 正喜, 森 典子
    1993 年 15 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    周開頭術期に透析療法を必要とした症例6例を経験した.これをもとに合併症とその対策について検討した.症例の内訳は高血圧性脳内出血3例, クモ膜下出血3例で, 計6例中5例は慢性透析患者であった.透析方法は1例のみ持続腹膜透析で他は血液透析であった.全例に出血傾向を認め, 血液透析の患者の2例で不均衡症候群を経験した.予後は, 3例が死亡, 1例が重篤な障害を残し, 2例は良好であった.血液透析には抗凝固剤の使用による出血の危険不均衡症候群の合併があり, 脳浮腫, 急激な血圧低下の予防に高浸透圧製剤が有効で, 頻回かつ緩徐な除水が好ましいと考えられた.
  • 玉井 伸明, 神田 直, 飯塚 高浩, 北井 則夫, 畑 隆志
    1993 年 15 巻 1 号 p. 12-17
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳出血の血腫部位と加齢の関係について検討した.対象は脳出血により入院した644例 (平均年齢58.9±12.4歳) である.50歳代までは男性の患者数は女性の2倍以上多いが, その差は加齢と共に縮小し, 70歳以上では消失した.CT上の血腫部位別にみると被殻233例 (55.6±11.3歳), 視床167例 (61.3±10.9歳), 橋69例 (53.9±9.4歳), 小脳61例 (67.6±9.9歳), 皮質下78例 (60.6±16.7歳) であった.被殻出血と橋出血の平均年齢は, 視床出血及び小脳出血と比べ有意に低値を示した (いずれもp<0.001).被殻出血は特に若年の男性に多く39歳以下で60%を占め, 一方視床出血は40歳から増加した.橋出血が若年に多いのに対して, 小脳出血は70歳以上の高齢者に多く, この傾向は女性においてより明確であった.血腫部位別に基礎疾患としての高血圧の頻度をみると, 被殻 (91%), 橋 (91%), 視床 (84%), 小脳 (72%) の順であり, 被殻出血と橋出血は, 視床及び橋出血よりも高血圧の影響をより強く受けるものと推定された.
  • 藤川 徳美, 山脇 成人, 東方田 芳邦
    1993 年 15 巻 1 号 p. 18-22
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    初老期・老年期うつ状態と潜在性脳梗塞 (以下SCI)の関係についての検討をMRIを用いて行った.うつ状態の診断はDSM-III-RのMajor Depressionの診断基準を用いた.卒中発作の既往, 局所神経症状を持つ患者は対象から除外した.初老期発症患者の約半数, 老年期発症患者の大多数はSCIを有し, 器質性のうつ状態だと思われた.SCIに伴ううつ状態は将来, 脳卒中発作を起こす危険が高いため, pre-stroke depressionと命名した.この, pre-stroke depressionの時期に抗血小板療法等の脳血管障害に対する治療を開始することは, 脳卒中の予防, 早期治療という意味で重要だと思われた.
    1.初老期発症うつ状態患者の約半数, 老年期発症うつ状態患者の大多数は潜在性脳梗塞を有し, 器質性のうつ状態である可能性が示唆された.
    2.初老期以降に初発したうつ状態は, 脳卒中の警告症状, 初発症状である可能性が高いため, その点を考慮に入れて, 治療, 精査を進めることが重要だと考えた.潜在性脳梗塞の存在は, 脳卒中発作の警告症状であり, うつ状態にあるものでは潜在性脳梗塞に伴うものが多く, この場合は脳卒中発作が起こる可能性が高いため, これをpre-stroke depressionと命名した.このpre-stroke depressionを呈した時期に, 抗血小板療法等の脳血管障害に対する治療を開始することは, 脳卒中の早期予防, 早期治療という点から考えると非常に重要だと考えた.
  • 岩本 俊彦, 佐々木 明徳, 柳川 清尊, 高崎 優
    1993 年 15 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    心原性脳塞栓における血小板の関与を知る目的で, β-thromboglobulin (BTG) 濃度を内頸静脈 (A), 肘静脈 (B) で測定し, BTG (B) およびΔBTG値 (A-B/B) を各々体循環, 脳循環中血小板活性化の指標として, 病期や経過, 画像から検討した.対象は心房細動 (Af) を有する心原性脳塞栓31例で計53回測定し, 対照にはAfのみの群, 健常群, 脳卒中以外の疾患群, 慢性期脳血栓群を用いた.その結果BTG (B) は脳塞栓慢性期 (75.5±66.3ng/ml) ばかりかAfのみの群でも健常群より有意に高く, 一方ΔBTG値は脳卒中以外の疾患群に比し発症3日以内の超急性期 (0.42±0.70) および出血性梗塞時に上昇したが, 慢性期 (0.22±0.75) には脳血栓群 (2.20±4.59) より有意に低かった.ΔBTG値には梗塞巣の分布 (CT所見) 差はみられず, 以上から脳塞栓の血小板活性化は心腔内で慢性的に生じており, 脳循環中では急性期初期に栓子閉塞に伴う二次性血栓の形成が関与していることが示唆された.
  • 佐藤 清人, 津田 能康, 高橋 務, 宮本 泰文, 松尾 裕英
    1993 年 15 巻 1 号 p. 30-39
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞患者における急性期から慢性期にかけての各種血液レオロジー因子の変化を測定し高血圧, 高脂血症患者, 及び高年健常例と比較検討した.発症後3日以内の急性期脳梗塞例では高年健常例と比較して全血-, 血漿-粘度, フィブリノーゲン濃度, Yield Shear Stress (YSS) index及びフィブリノーゲン/アルブミン比が有意の高値 (p<0.0005~0.05) を示し, 発症後1ヵ月目には低下傾向を示したが依然高値 (p<0.005~0.05) であり, 発症後平均12.5ヵ月を経過した慢性期脳梗塞例でも高値 (p<0.0001~0.05) を示した。高血圧例ではHct値, 全血粘度, 及びYSS indexが, 高脂血症例では血漿-, 全血-粘度, 及びYSS indexが高年健常例と比較して有意の高値 (p<0.005~0.05) を示した.以上より動脈硬化性疾患の危険因子としての高血圧, 高脂血症を有する患者では既に血液粘度は高値を呈し, 虚血発作発症後フィブリノーゲン濃度, YSS indexの増大などにより血液粘度は更に増大し, 血液の非流動性の増大による悪循環が形成され, 慢性期まで持続することが考えられた.
  • 渡辺 正樹, 高橋 昭, 真野 和夫, 渡辺 英夫
    1993 年 15 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳梗塞急性期群130症例の2μM ADPに対する血小板凝集能 (PA) を測定した.そのうち86例ではantithrombinIII (ATIII), α2-plasmin inhibitor (APL) も同時に測定した.タイプ別にラクーネ群 (L群), 皮質枝血栓群 (T群), 心源性塞栓群 (E群), 男女別に男性群 (M群), 女性群 (F群) に分類し, ML, MT, ME, FL, FT, FE群の6群について検討した.外来通院中の成人病患者例を対照群とすると, 梗塞群のPA, ATIII, APLはともに対照群より低下していた.PA, ATIIIにおいてE群はL, T群より低値であるが, APLでは差を認めなかった.またPA, ATIII, APLともにM群はF群より低値であることが多かったが, これは主にML群とFL群の差によると考えられた.脳梗塞急性期症例, 特にL群でPAは男性において女性より低下することが多いという男女差が存在することが明らかになった.
  • 望月 葉子, 小町 裕志, 亀谷 寛, 岸田 修二, 矢野 雄三
    1993 年 15 巻 1 号 p. 45-50
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    症例は67歳女性.ふらつき, 右眼球運動障害, 見当識障害のため入院.主症状は, 一側の動眼神経麻痺, 両側の運動失調に加え, 反対側の眼球の上転障害であったことから, Nothnagel症候群と考えた.頭部CT・MRIでは右視床内側・中脳被蓋部に梗塞巣を認め, 主病巣は, 右動眼神経核, 上小脳脚交叉, 網様体ないし視床内側部と考えられた.
    Nothnagel症候群についての報告は少なく, また, 中脳の症候群についても若干の混乱がみられており, 本例の症候と病巣について検討し, 報告した.
  • 高松 和弘, 宮本 勉, 佐藤 昇樹, 佐能 昭, 村上 裕二
    1993 年 15 巻 1 号 p. 51-55
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    興味ある脳血管撮影所見を呈し頭部MRI・T2強調像で, 延髄の左側腹内側部に高信号域を認めた廷髄内側梗塞の43歳・男性を報告した.臨床的には顔面を含まない片麻痺と反対側の舌の麻痺を認めたが深部感覚障害は認められず, 診断にはMRIが有用であった.脳血管撮影で左椎骨動脈は頸部で閉塞し, 前脊髄動脈を介して逆行性に左後下小脳動脈分岐部の椎骨動脈と左後下小脳動脈が淡く造影された.右椎骨動脈は後下小脳動脈分岐直後で閉塞していた.血行動態的に左側延髄上部を灌流する正中延髄枝を分岐する近傍の脳底動脈あるいは椎骨動脈が最も虚血になりやすかったために左延髄上部に限局する梗塞が生じたと推測された.
  • 山本 清, 松本 香, 野垣 宏, 川井 元晴, 森松 光紀
    1993 年 15 巻 1 号 p. 56-62
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    急性発症で, 片麻痺が軽微で全失語を呈した脳梗塞5例の臨床所見・画像所見を検討した.対象は右利きの男2例, 女3例 (35~69歳).X線CT・MRIでは2例で一次運動領野を含まない前頭葉皮質を中心とする梗塞巣を認め, 3例で左側脳室体部外側から前頭葉白質, 基底核領域に散在性の梗塞巣を認めた.SPECTを施行した4例中2例で左大脳半球の全般的血流低下を認め, うち1例は脳血管撮影で左中大脳動脈閉塞を, 他の1例ではMRAで左中大脳動脈閉塞が疑われた.SPECTを施行した他の2例では左前頭葉の血流低下と左側頭後頭葉の軽度の血流低下を認め, うち1例の脳血管撮影では両側中大脳動脈閉塞・モヤモヤ血管が, 他の1例のMRAでは左内頸動脈閉塞が認められた.SPECT末施行の1例の脳血管撮影では左中大脳動脈閉塞を認めた.急性期に頭部CT・MRIで見られる病変よりも広汎な血流低下・機能低下領域が存在し, これが失語症発現に重要な役割を果しているものと考えられる.
  • 佐々木 一裕, 佐野 光彦, 槍沢 公明, 東儀 英夫
    1993 年 15 巻 1 号 p. 63-68
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症例は22歳の初産婦で, 遷延分娩を契機に頭痛, 視力低下を訴え, 意識障害, 全身けいれん, 四肢麻痺, 両側Babinski反射などの神経症状を呈する子癇状態となった.頭部CTで両側の線条体とその周囲に低吸収域, SPECT (123I-IMP) で両側cortical borderzoneの脳血流低下を示唆するIMPの集積低下, 脳血管造影では右中大脳動脈にvasospasmを認めた.神経症候は急速分娩後に次第に改善し, 神経放射線学的な検査所見も正常となった.本例の経過中の最高血圧は150/100mmHgであり, 収縮期血圧が子癇の発症誘因とは考え難かった.CT及びSPECT所見から, 本例は一過性のstagnant hypoxiaによる低酸素性脳症の可能性が考えられた.stagnant hypoxiaの原因としてはvasospasmの関与が疑われた.
  • 山上 達人, 東 健一郎, 佐藤 元, 半田 肇, 定藤 章代
    1993 年 15 巻 1 号 p. 69-76
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳底動脈狭窄と左上小脳動脈閉塞を生じた18歳の1例を報告する.意識障害で発症し, 神経学的には, 右顔面の知覚障害, 右顔面神経麻痺, 構音障害と右半身麻痺が認められた.CTとMRIにて, 橋と左小脳上内側に虚血巣があり, 椎骨動脈撮影 (VAG) では, 左上小脳動脈の閉塞と脳底動脈のビーズ状の狭窄が認められた.一時的に神経症状が悪化し, MRIでは, 左下丘に異常信号域が拡大していた.この時のVAGでは, 左上小脳動脈だけでなく, さらに左後大脳動脈閉塞も生じた.保存的治療により, 右半身麻痺は改善し, 歩行可能となった.第3および4回目のVAGにて動脈の閉塞の正常化が確認された.神経脱落症状も軽微なまでに回復した.本症例の病因は原因不明の血管炎と考えられた.
  • 鎌塚 栄一郎, 杉浦 和朗
    1993 年 15 巻 1 号 p. 77-83
    発行日: 1993/02/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    被殻出血の転帰に関わる因子について検討した.個々の因子と転帰との関係をX2検定し, 5%の有意水準で転帰と関係があると判定された因子を多変量解析 (数量化2類) した。X2検定で有意差を認め, 多変量解析に用いた因子はEdinburgh 2 Coma Scale (E2CS) による意識レベル, 瞳孔所見, 呼吸状態, 麻痺の程度, 発症から当科入院までの時間, 飲酒歴, 高血圧の既往歴, およびCT上の血腫の大きさ, 正中偏位, 脳室穿破の有無である。臨床観察因子による判別率は83%と最も高く, CT所見因子による判別率は78%, 臨床観察およびCT所見因子からの判別率は81%であった.
    これらの結果から臨床観察因子がCT所見因子よりも予後判別に対してより大きな影響を与えていることが推察された。
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