脳卒中
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頭部CTで両側の線条体に低吸収域, SPECTでcortical borderzoneのIMP集積低下を認めた子癇の1例
佐々木 一裕佐野 光彦槍沢 公明東儀 英夫
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1993 年 15 巻 1 号 p. 63-68

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抄録
症例は22歳の初産婦で, 遷延分娩を契機に頭痛, 視力低下を訴え, 意識障害, 全身けいれん, 四肢麻痺, 両側Babinski反射などの神経症状を呈する子癇状態となった.頭部CTで両側の線条体とその周囲に低吸収域, SPECT (123I-IMP) で両側cortical borderzoneの脳血流低下を示唆するIMPの集積低下, 脳血管造影では右中大脳動脈にvasospasmを認めた.神経症候は急速分娩後に次第に改善し, 神経放射線学的な検査所見も正常となった.本例の経過中の最高血圧は150/100mmHgであり, 収縮期血圧が子癇の発症誘因とは考え難かった.CT及びSPECT所見から, 本例は一過性のstagnant hypoxiaによる低酸素性脳症の可能性が考えられた.stagnant hypoxiaの原因としてはvasospasmの関与が疑われた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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