脳卒中
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皮質性中枢性顔面単麻痺
MRIによる病巣検討と上位顔面神経路についての考察
鈴木 義夫杉田 幸二郎河村 満荒木 重夫塩田 純一
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1993 年 15 巻 2 号 p. 91-96

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抄録
皮質性中枢性顔面単麻痺を呈した8例のMRI病変と臨床症状を対比し, 中心前回運動野の体部位局在について検討した.また, 顔面単麻痺の程度と性質, さらに顔面随意運動と感情運動時の運動麻痺の態度を観察し, 顔面筋支配の中枢性経路について考察した.MRI上の病変部位は冠状断像から, 中心溝, 中心前回を同定し, これを通る断面像から大脳縦裂を上端とし, Sylvius裂を下端とする大脳皮質を3等分し, 上方1/3, 中央1/3, 下方1/3とした.8例の共通病変は中心前回の中央1/3に存在し, それより, 下方進展例では, 嚥下・構音障害, 舌運動障害がみられ, 一方, 深部白質進展例では, 半側空間無視, 運動性失語などの合併が認められた.8例全例が, 顔面の随意運動時, 感情運動時共に同様な運動麻痺の態度を示し, 顔面随意運動と感情運動に関与する経路はいずれも, 中心前回運動野周辺では近接して走行している可能性が示唆された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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