脳卒中
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海綿静脈洞部硬膜動静脈奇形における症状寛解因子の検討
長期追跡調査結果と脳血管写所見を中心に
瀬尾 弘志久連山 英明近藤 礼佐藤 清中井 昴
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1993 年 15 巻 4 号 p. 284-292

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抄録
海綿静脈洞部硬膜動静脈奇形16例の長期追跡調査を行い, 寛解までに要する期間を短縮する因子として, 入院時のシャント量と流出経路数, 治療の有無と内容に注目して比較検討した.さらに, 寛解時脳血管写を加え, 本症の治癒機転について考察した.寛解からの観察期間は平均34.8ヵ月と十分で, この間の再発はなかった.シャント量Low (n=5) は発症から平均3.0ヵ月, 確定診断から平均2.0ヵ月で寛解し, Moderate以上 (n=11) の13.8ヵ月, 11.3カ月に比し有意に短かった (p<0.05).流出経路数と寛解までの期間の間に有意の差はなかった.未治療例は発症から平均7.8ヵ月, 確定診断から平均5.4ヵ月で完全寛解した.治療例はそれぞれ11.6ヵ月, 9.7ヵ月で寛解し, 未治療例に比し短くなかった.寛解時血管写で, シャントの消失例の他, 入院時と同程度のシャント量を保つ例があり, そのような例の流出経路は入院時に比し発達していると考えられた.本症の転帰は良好で, その治癒機転はシャントの消失と流出経路の発達が関与すると結論した.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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