脳卒中
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15 巻 , 4 号
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  • 荒木 俊彦, 赫 彰郎, 北村 伸
    1993 年 15 巻 4 号 p. 261-270
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    大脳基底核や深部白質に小梗塞を認める多発性脳梗塞患者の脳循環代謝を15O2PET studyにより繰り返し測定し, 脳循環代謝の面より痴呆の発現や進行について検討した.対象は老年健常者7例, 多発性脳梗塞患者21例, 多発梗塞性痴呆患者23例で, 多発性脳梗塞8例と多発梗塞性痴呆7例でPETによる経時的観察を行った.多発梗塞性痴呆では多発性脳梗塞に比し, 前頭葉, 頭頂葉で脳血流量, 脳酸素消費量が有意に低下していた.PETによる経過観察で, 多発性脳梗塞8例中その後に痴呆を呈した症例は1例で, 初回の検査時に前頭葉で脳血流量, 脳酸素消費量が低下していた.多発梗塞性痴呆7例中2例で1回目の検査時に脳血流量の低下が脳酸素消費量の低下に先行し, 2回目には脳酸素消費量も低下し痴呆が進行していた.PETによる経過観察にて, 多発性脳梗塞の痴呆の発現や進行の一因に, 前頭葉の機能低下および慢性の脳虚血状態が関与することが示唆された.
  • 片山 泰朗
    1993 年 15 巻 4 号 p. 271-278
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    グルコースを負荷したMongolian gerbilを使用して, 脳虚血および再開通後におけNADH fluorescenceを観察し, また皮質, 尾状核での局所エネルギー代謝を測定した.NAD fluorescenceは脳虚血により冠状断面において一様に増加し, 再開通によりす早く減少したが, 尾状核部では皮質に比べてその輝度が強く維持されていた.再開通60分において6匹中1匹にてNADHH fluorescenceは数ヵ所においてpatch状に高輝度を呈した.また, 他方では輝度が低下しdark areaを示す部位も観察された.脳代謝では脳虚血により一様に高エネルギー燐酸化合物の著しい低下およびlactateの増加をみた.再開通によりエネルギー代謝障害はほぼ回復したが, 尾状核においてlactateはコントロールに比して高値を維持した.また, patch状の高輝度やdark areaを呈した部位では代謝障害は強度であった.NADH fluorescenceはATP, PCrの減少およびlactateの蓄積に密接に関連し, なかでもlactateの蓄積に鋭敏のようであった.
  • 中島 正之, 横山 正男, 松田 昌之, 半田 譲二
    1993 年 15 巻 4 号 p. 279-283
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    くも膜下出血発症後早期のCT上での血腫の消退速度をクリアランス値として算出し, 神経脱落症状, および治療成績との関連性について検討した.症候性脳血管攣縮の発現とクリアランス値の間には関連性は認めなかったが, 脳梗塞発現群, 正常圧水頭症発現群では有意差はないものの, クリアランス値が低値を示す傾向がみられた.ドレナージによるクリアランス値の差はみられなかった.退院時の治療成績では, 良好群で有意にクリアランス値が高値を示した.半定量的な測定法であるが, クリアランス値はくも膜下出血の臨床経過をある程度予知する手段になる可能性があると考えられる.
  • 瀬尾 弘志, 久連山 英明, 近藤 礼, 佐藤 清, 中井 昴
    1993 年 15 巻 4 号 p. 284-292
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    海綿静脈洞部硬膜動静脈奇形16例の長期追跡調査を行い, 寛解までに要する期間を短縮する因子として, 入院時のシャント量と流出経路数, 治療の有無と内容に注目して比較検討した.さらに, 寛解時脳血管写を加え, 本症の治癒機転について考察した.寛解からの観察期間は平均34.8ヵ月と十分で, この間の再発はなかった.シャント量Low (n=5) は発症から平均3.0ヵ月, 確定診断から平均2.0ヵ月で寛解し, Moderate以上 (n=11) の13.8ヵ月, 11.3カ月に比し有意に短かった (p<0.05).流出経路数と寛解までの期間の間に有意の差はなかった.未治療例は発症から平均7.8ヵ月, 確定診断から平均5.4ヵ月で完全寛解した.治療例はそれぞれ11.6ヵ月, 9.7ヵ月で寛解し, 未治療例に比し短くなかった.寛解時血管写で, シャントの消失例の他, 入院時と同程度のシャント量を保つ例があり, そのような例の流出経路は入院時に比し発達していると考えられた.本症の転帰は良好で, その治癒機転はシャントの消失と流出経路の発達が関与すると結論した.
  • 渡辺 正樹, 新畑 豊, 茂木 禧昌, 出口 晃
    1993 年 15 巻 4 号 p. 293-297
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    急性期および慢性期の脳幹部ラクナ梗塞 (LI) 群におけるアンチトロンビンIII (ATIII) 値およびトロンビン-ATIII複合体 (TAT) 値をテント上ラクナ (LS) 群, 皮質枝血栓 (TH) 群, 心原性塞栓 (EM) 群と比較して, その凝固状態を検討した.ATIII値はEM群が急性期, 慢性期ともに最も低く, LI群はLS, TH群と同程度の値を示した.一方, LI群の急性期におけるTAT値はTH, EM群と同程度で, LS群より高値を示した.このことよりLI群はLS群と同規模の梗塞ながら, より凝固亢進状態にあり, 大血管病変も存在する可能性があるといえた.TATはATIIIより鋭敏に過凝固状態を表し, 両者の併用は凝固状態把握のため必要と考えられた.
  • 矢野 大仁, 澤田 元史, 篠田 淳, 船越 孝
    1993 年 15 巻 4 号 p. 298-302
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    症候性脳主幹動脈高度閉塞性病変を有する52症例 (中大脳動脈水平部 [M1] 狭窄11例, M1閉塞14例, 内頸動脈 [ICA] 狭窄13例, ICA閉塞14例) を対象に再虚血発作の時期, 回数, 頻度について検討し, 更に脳血管撮影で病態確認後の再発作に注目して, その頻度を狭窄例と閉塞例で比較検討した.再発作は52例中26例 (50.0%) で64回認め, 初回発作から6~10日の間で最も頻度が高く, 0.0577回/日/例と, 初回発作から20日以降での平均0.0013回/日/例に比べ著しく高かった.症候性M1またはICA高度閉塞性病変における初回発作からの20日間は虚血急性期の脳循環動態不安定期と考えられ, 厳重な患者管理の必要性が示唆された.また脳血管撮影で病変確認後の再発作はM1及びICA閉塞例の全28例中では1例 (3.6%), M1及びICA狭窄例の全24例中では6例 (25.0%) であり, 狭窄例では閉塞例に比し有意に高頻度に再虚血発作を起こした (p<0.025).
    1.症候性M、またはICA高度閉塞性病変52例中26例 (50.0%) で経過観察中に再発作を認めた.
    2.症候性M1またはICA高度閉塞性病変例の再虚血発作は初回発作より20日までに多く, この期間は虚血急性期の脳循環動態不安定期と考えられた.
    3.症候性M1またはICA高度閉塞性病変では脳血管撮影による病変確認後に限定すると, 狭窄例は閉塞例に比べ有意に高頻度に再虚血発作を起こした.
  • 丹羽 潔, 篠原 幸人, 瀧澤 俊也, 高木 繁治
    1993 年 15 巻 4 号 p. 303-309
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    覚醒下での脳循環自動調節能について, 特に脳内部位別差異に注目し検討した.覚醒自発呼吸下のWistar ratを正常血圧群 (平均動脈血圧130±5mmHg, n=7), 脱血後の低血圧群I (71±2mmHg, n=8), 低血圧群II (61±4mmHg, n=8), 低血圧群III (51±2mmHg, n=7) の計4群に分け, 脳内25部位での局所脳血流をautoradiography法にて求めた.大脳皮質をはじめとする多くの部位では, 正常血圧群に比し低血圧群で低炭酸ガス血症のため血流の低下を認めたが, 動脈血炭酸ガス分圧がほぼ一定に保たれた低血圧群I~III間においては脳血流はほぼ一定の値を示し, 脳循環自動調節能は維持されていた.しかし, 脳幹部の一部あるいは海馬, 視床下部などでは脳血流はむしろ低血圧II, III群で上昇する傾向を認め, 特に青斑核では推計学的に有意な上昇を認めた.この結果, 以前我々が報告した脳循環自動調節域の血圧下限付近で, 特に脳幹部や海馬で脳血流が逆に一時増加する現象 (predysautoregulatory overshoot of CBF) が覚醒かつ体温や脳温を一定に保持した状態でも存在することが証明された.すなわち本研究により脱血による血圧下降時における脳血流の維持機構が, 脳内の部位により必ずしも一様ではないことが証明された.
  • 後藤 文男, 福内 靖男
    1993 年 15 巻 4 号 p. 310-316
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    昭和59年から昭和63年までの5年間に11施設 (慶應義塾大学神経内科およびその関連病院) に発症24時間以内に入院し, CTスキャンを施行し得た橋出血133例 (男性84例, 女性49例, 平均年齢58±12 (mean±SD) を対象とした.
    これらの患者のうち内科的治療を行ったのは130例で, 外科的治療を受けたのは3例のみであった.入院時神経学的重症度 (NG), 血腫の最大径, 血腫量, 脳室穿破の有無, 血腫の中脳への進展の有無と退院時予後の関係を検討した.NG分類, 予後は日本脳卒中外科研究会の分類に準じた.その結果は, (1) 意識障害がないか軽度の症例では生命予後, 機能予後ともに良好な症例が存在した.意識は半昏睡, 昏睡の症例は生命予後, 機能予後ともに不良であった. (2) 血腫の最大径が2.0cm以下の症例は予後良好な症例もみられたが, 2.1cm以上では死亡率は増加し自立生活可能な症例はみられなかった. (3) 血腫量は5ml以下では予後良好な症例もみられたが, 5.1ml以上では予後不良であった. (4) 第IV脳室穿破の認められる症例, 血腫が中脳へ進展している症例は予後不良であった.
  • 高松 和弘, 滝沢 貴昭, 佐藤 昇樹, 佐能 昭, 宮本 勉
    1993 年 15 巻 4 号 p. 317-322
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    我々は右前大脳動脈領域の梗塞で左手にalien hand signと鏡像書字を塁した70歳・女性を報告した.神経学的所見では意識は清明だが抑うつ傾向, 寡黙であった.脳神経領域に異常所見は認められなかった.下肢優位の左不全片麻痺を認めた.左上肢は本人の意志に反して無目的に勝手に動いた.深部腱反射は左上下肢で亢進, 左側でBabinski反射が陽性, 左手に軽い把握反射を認めた.感覚系・小脳系に異常はなかった.神経心理学的所見 : 1) 言語機能;自発言語は非常に少なかったが失語は認めなかった.2) 書字機能;右手の書字は異常は認めず, 左手の書字は自発書字および書き取りは鏡像となった.3) 失行・失認は認められなかった.神経放射線学的所見;頭部MRIで前頭葉底部から補足運動野, 帯状回, 膨大部を除く脳梁全体に及ぶ広汎な梗塞巣を認めた.本例での左上肢の異常行為は, “道具の強迫的使用” や “拮抗性失行” などの他の異常行為とは異なり, “alien hand sign” の定義に一致すると思われた.
  • 羽田 浩, 〓川 哲二
    1993 年 15 巻 4 号 p. 323-327
    発行日: 1993/08/25
    公開日: 2010/01/21
    ジャーナル フリー
    62歳の女性がくも膜下出血で入院した.入院時, Hunt & Hess gradeは4で, 四肢の麻痺, 顔面神経麻痺はなかった.computed tomographic scanは左の迂回槽, 四丘体槽に厚いくも膜下出血と閉塞性水頭症を示した.椎骨脳底動脈撮影は3回行なったが, 1回目と2回目の逆行性上腕撮影では動脈瘤は認めなかった.3回目で左の前下小脳動脈末梢部に動脈瘤が確認できた.手術は側臥位で左の後頭下開頭を行い, 動脈瘤をクリップした.動脈瘤は第7, 8脳神経近傍に存在したが, 小脳半球に埋没しており術後に第7, 8脳神経障害は出現しなかった.我々は, 前下小脳動脈末梢部の破裂動脈瘤の1例を報告し, その臨床経過に若干の文献的考察を加えて報告する.
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