脳卒中
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脳梗塞発症後に脳出血を併発した抗リン脂質抗体陽性SLEの2例
丹羽 潔北川 泰久篠原 伸顕吉利 味江子篠原 幸人
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1994 年 16 巻 2 号 p. 151-155

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抄録
抗リン脂質抗体と脳血栓症の関係はよく知られているが, 脳出血との関係は十分知られていない.本稿は脳梗塞発症後に脳出血を併発した抗リン脂質抗体陽性SLEの2例の報告である.症例1は42歳・男性でSLE発症3年後に脳梗塞発作を, その1カ月後には視床出血を発症した.症例2は37歳・女性でSLE発症5年および8年後に2回の脳梗塞発作を, 9年後には視床出血を発症し脳室内穿破を併い死亡した.何れもループス腎炎に伴うと思われる難治性高血圧を認めたが, 症例2では病理学的に脳内の細動脈の肥厚を認めるのみでangionecrosis, angitisなどを示唆する所見は認めなかった.本症でも脳出血を併発することがあるが, その成因は必ずしも通常の高血圧性脳出血と同一ではない可能性を強調した.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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