脳卒中
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ラット中大脳動脈分岐パターンと梗塞巣の再現性についての検討
門田 紘輝新納 正毅川西 昭人朝倉 哲彦
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1994 年 16 巻 2 号 p. 87-94

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抄録

虚血脳モデルラットにおいて皮質梗塞巣の再現性を妨げている因子の一つに側副血行路の存在が挙げられる.私共は手術用顕微鏡下にラットの中大脳動脈走行を観察し, 得られた結果から再現性の高い梗塞モデル作成法について検討した.100匹のS-Dラットの中大脳動脈について, 起始部から前頭枝と頭頂枝に分岐する迄の走行について観察した.その結果, 中大脳動脈のearly bifurcation 8例, fenestration 4例, 前頭枝の分岐の見られないもの1例の計13例に走行のvariationが見られた.また, 中大脳動脈前頭枝を介する前大脳動脈からの側副血行が梗塞巣の再現性に大きな影響を与えることを考慮し, 起始部から前頭枝分岐部に至るまでを焼灼閉塞せしめた35例においては, TTC染色で梗塞巣を評価した結果, 33例94%において高度の皮質梗塞巣が得られた.皮質梗塞の高い再現性を得るには, 中大脳動脈近位部から前頭枝分岐直後までの閉塞が必要である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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