脳卒中
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Lipo-PGI2誘導TTC-909の局所脳虚血回復期における脳グルコース代謝に対する影響
島 克司梅沢 仁千ケ崎 裕夫奥山 茂荒木 博陽
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1994 年 16 巻 4 号 p. 278-284

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抄録
prostaglandinI2 (PGI2) 誘導体であるisocarbacyclin methylester (TEI-9090) を脂肪乳剤に封入した新しいlipco-PGI2誘導体 (TTC-909) を, 脳卒中誘発高血圧自然自然発生ラット (SHRSP) を用いた中大脳動脈末梢部閉塞による局所脳虚血モデルに7日間投与し, 虚血回復期における脳グルコース代謝に対する影響を評価した.脳虚血作成30分後よりTTC-909 (TEI-9090として100ng/kg/day) あるいは生食水 (対照群) を7日間静脈内投与した.TTG-909投与群の局所脳グルコース代謝率 (LCGU) は, 梗塞周辺部で対照群に比較して平均40%増加した.梗塞辺縁部では, 外周部で54~85%の著明な増加を認めたが, 梗塞巣に接した内周部 (対照群でLCGUの増加を認めた) には有意な変化は認めなかった.このほか梗塞側の海馬, 扁桃体などにも有意の増加を認めた.TTC-909はSHRSPは局所脳虚血の脳グルコース代謝障害を改善することが示唆された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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