脳卒中
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16 巻 , 4 号
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  • 丹羽 潔, 篠原 幸人, 北川 泰久, 大木 教久, Ulrich Dirnagl
    1994 年 16 巻 4 号 p. 231-238
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    生理的状態下において, 内皮由来血管収縮因子の一つとされるsuperoxide anionが, 神経活性化刺激による脳血流・代謝couplingにどのように関与しているかを検討した.麻酔人工呼吸下のWistar ratをfree superoxide-dismutaseの全身・局所投与群, liposome entrapped superoxide-dismutaseの全身・局所投与群の計4群に分けlaser Doppler法により口髭刺激中の大脳皮質の局所脳血流を測定した.Superoxide-dismutase全身・局所投与は共に, 刺激前の脳血流や血圧に変化を与えなかった.これは生理状態下においてはsuperoxide anionの有意な放出はないとする従来の説を支持した.一方, liposome entrapped superoxide dismutaseの全身投与のみが口髭刺激による脳血流増加率を更に有意に増強させたが, このことは刺激により血管内皮細胞から産生されたsuperoxide anionがscavengingされた結果, 内皮由来血管拡張因子の作用持続時間を延長させた可能性を示唆した.
  • 飯塚 高浩, 神田 直, 稲福 徹也, 畑 隆志, 坂井 文彦
    1994 年 16 巻 4 号 p. 239-243
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    降圧薬の投与開始後短期間のうちに発症した脳梗塞について検討した.対象は降圧薬の服用開始後1ヵ月以内に発症した脳梗塞9例であり, 年齢は48歳から83歳, 平均66.7±10.5歳である.服用開始後発症までの期間は, 5例が7日未満であり, 平均10.1±8.6日.基礎疾患は高血圧に加え, 4例で糖尿病, 1例で心房細動を認めた.1例を除き全例初回発作であった.降圧薬の種類はCa拮抗薬が8例と最も多く, うち4例はβ遮断薬, ACE阻害薬など2種以上の降圧薬を初回より併用し, 1例は3剤同時開始例であった.また1例は単剤ではあるが高齢者に対して初回より常用最上限が投与され翌日の発症であった.責任病巣は, 放線冠など穿通枝領域が6例と最も多く, 皮質枝領域が2例, 境界領域が1例であった.機能予後は, 7例は独歩, 2例は車椅子であった.降圧薬の投与に際しては, 投与量に留意し, 原則として, 単剤, 少量から開始すべきであると考える.
  • 渡辺 正樹, 高橋 昭, 新畑 豊, 茂木 禧昌
    1994 年 16 巻 4 号 p. 244-249
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    MRI (T2強調像) にて橋底部に認められる虚血によると考えられる高信号の成因とその意義について検討した.橋部高信号例はテント上多発性高信号群 (A群;放線冠, 大脳基底核, 視床のうちいずれか2領域以上に15mm以下の小高信号を認める), 椎骨動脈左右差群 (B群;MR angiographyにて左右の椎骨動脈の径の比が1 : 2以上) でいずれも無所見群より有意に高頻度であった.A群では両側性で橋上部に, B群では片側性で橋下部に高信号が多かった.またB群での小径の椎骨動脈の側は橋部高信号の側と一致することが多かった.さらに脳室周囲高信号域の程度は, A群がB群より有意に強かった.以上より橋部高信号は, 1) テント上多発高信号, 2) 椎骨動脈左右差のいずれかが存在する場右に形成され易く, その意義はそれぞれ, 1) 広範な動脈硬化の進行, 2) 血行力学的異常と思なる可能性が示唆された.
  • 宇野 昌明, 阿川 昌仁, 西谷 和敏, 上田 伸, 松本 圭蔵
    1994 年 16 巻 4 号 p. 250-255
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    70歳以上の高齢者に施行された32症例34病側の頸動脈内膜剥離術 (以下CEA) の手術成績及び長期予後を検討した.これらのpostoperative neurological mortalityは2.9%, permanent morbidityは0%であり, 70歳未満の症例と比較し, 有意差はなかった.長期予後はasymptomaticの症例は全例がADL1の状態であり, 全体でも21例 (65.6%) がADL1の状態で生存中であった (平均follow-up51.6ヵ月, 最長156ヵ月).Follow-up期間中, その死因にCEA側のstrokによるものはなかった.術前に全身の機能評価を十分に行い, 術直後より厳重に循環呼吸管理を行うことにより術後の合併症を防げば, 70歳以上の高齢者にもCEAは有効な治療法となる可能性は高いと考えられた.
  • 中原 一郎, 滝 和郎, 菊池 晴彦, 田中 正人, 松本 晃二
    1994 年 16 巻 4 号 p. 256-264
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    頭頸部主幹動脈狭窄7症例 (24~73歳平均58歳) のpercutaneous transluminal angioPlasty (PTA) において, 術中の遠位部血栓塞栓症予防の目的でprotective balloon (PB) を用いた.病変部位は, 鎖骨下動脈2例, 椎骨動脈起始部3例, 頸部内頸動脈2例で, 平均狭窄率は81%であった.PBは, 狭窄部の遠位に置きdebrisを吸引ないし脳外の血管に流し出すdistal PB法, あるいは近位に置きinduced stealやback flowにより脳内血管の血流を逆流させdebrisの注入を防ぐproximalPB法のいずれかにて行った.術中, 術後に合併症は見られず, 平均狭窄率は22%といずれも著明な改善を認めた.これらの経験をもとに頭頸部領域のPTAにおけるPBの有用性と問題点について検討した.
  • 高橋 弘明, 渡辺 活見, 久喜 寛之, 柏谷 充, 東儀 英夫
    1994 年 16 巻 4 号 p. 265-269
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    抗血小板薬投与前後の血小板凝集能の変化および抗血小板薬の作用と血漿fibrinogen濃度との関連を検討した.対象は脳血栓症患者97例, うちチクロピジン200mg/日投与群31例, アスピリン40mg/日投与群14例, アスピリン81mg/日投与群31例, 抗血小板薬無投与群21例.血小板凝集能は, インピーダンス法および比濁法で測定し, 凝集惹起物質としてcollagenとADPを使用した.チクロピジン投与群では, Impedance法, 比濁法ともADP凝集が有意に抑制された.アスピリン投与群では, Impedance法ではcollagen凝集が, 比濁法では, collagen凝集とADPによる血小板2次凝集がともに有意に抑制された.血小板凝集能と血漿fibrinogen濃度との関連では, アスピリン投与群は有意の関連を認めなかったが, チクロピジン投与群ではADP凝集の抑制がfibrinogen上昇とともに有意に低下した.
  • 鈴木 秀謙, 山本 義介, 米田 千賀子
    1994 年 16 巻 4 号 p. 270-277
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    初回発作後3カ月以上生存した脳梗塞77例 (平均年齢57.8歳, 平均追跡期間46.6カ月), 脳出血70例 (同60.7歳, 同35.3カ月), くも膜下出血 (SAH) 94例 (同55.7歳, 同49.6カ月) につき, その後の脳卒中の再発状況等を検討した.再発脳卒中 (脳梗塞, 脳出血, SAH) の年間発症率は, 脳梗塞後でそれぞれ4.7%, 1.0%, 0.7%, 脳出血後で0.5%, 8.3%, 1.9%, SAH後で0.8%, 0.3%, 1.0%であった.従って, 再発脳卒中は初回発作の病型に関わらず, 初回発作と同じ病型であることが多く, 脳卒中の既往自体が新たな脳卒中, 特に同じ病型の脳卒中の危険因子の一つであると考えられた.また脳梗塞例では抗血小板剤の投与により脳梗塞の再発率は減少したが, 頭蓋内出血の頻度や重症度には無関係であった.脳出血例では再発予防に降圧治療はやはり重要で, これにより脳梗塞が誘発されることはなかった.再発SAHの原因としては, 脳動脈瘤の再発や新生, 不完全手術, 未破裂脳動脈瘤の見逃しが考えられた.
  • 島 克司, 梅沢 仁, 千ケ崎 裕夫, 奥山 茂, 荒木 博陽
    1994 年 16 巻 4 号 p. 278-284
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    prostaglandinI2 (PGI2) 誘導体であるisocarbacyclin methylester (TEI-9090) を脂肪乳剤に封入した新しいlipco-PGI2誘導体 (TTC-909) を, 脳卒中誘発高血圧自然自然発生ラット (SHRSP) を用いた中大脳動脈末梢部閉塞による局所脳虚血モデルに7日間投与し, 虚血回復期における脳グルコース代謝に対する影響を評価した.脳虚血作成30分後よりTTC-909 (TEI-9090として100ng/kg/day) あるいは生食水 (対照群) を7日間静脈内投与した.TTG-909投与群の局所脳グルコース代謝率 (LCGU) は, 梗塞周辺部で対照群に比較して平均40%増加した.梗塞辺縁部では, 外周部で54~85%の著明な増加を認めたが, 梗塞巣に接した内周部 (対照群でLCGUの増加を認めた) には有意な変化は認めなかった.このほか梗塞側の海馬, 扁桃体などにも有意の増加を認めた.TTC-909はSHRSPは局所脳虚血の脳グルコース代謝障害を改善することが示唆された.
  • 水野 桂子, 吉田 眞理, 池田 隆, 村上 信之, 伊藤 栄一
    1994 年 16 巻 4 号 p. 285-289
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    右後大脳動脈領域梗塞に続発してそう状態をきたした56歳・男性を報告した.左不全片麻痺にて発症し, 2週間後よりそう状態を呈した.既往歴・家族歴に特記すべきことなく, 脳梗塞に続発したものと考えた.頭部CT・MRI所見では, 右大脳脚・視床・視床下部・後頭葉に梗塞巣が限局し, そう状態と限局性病変について検討した.責任病巣として, 右中脳腹側被蓋野 (A-10) ・中脳-前頭葉皮質ドーパミン系を想定し, 若干の考察を加え報告した.
  • 笠畑 尚喜, 河村 満, 塩田 純一, 荒木 重夫, 杉田 幸二郎
    1994 年 16 巻 4 号 p. 290-295
    発行日: 1994/08/25
    公開日: 2009/09/16
    ジャーナル フリー
    左辺縁葉後端部の小出血で選択的健忘症状を呈した53歳の男性例を報告した.全身痙攣後に一過性意識障害を呈し, 意識障害の改善と共に健忘が明らかになった.健忘は, 言語性優位の著明な前向性健忘と軽度の逆向性健忘で, 障害はエピソード記憶に選択的で, 意味記憶, 手続き記憶は保たれていた.急性期のX線CTでは左辺縁葉後端部に高吸収域を認め, 亜急性期のMRI (T2強調) では同部の皮質と皮質下白質に限局した低信号域を認めた.文献報告例との対比から左辺縁葉後端部病変による健忘は前向性健忘が主体であり, 言語性優位である可能性が示唆された.
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