脳卒中
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視床血管性障害の神経症候とPET所見
松田 信二河村 満平山 恵造
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1995 年 17 巻 1 号 p. 18-26

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抄録

視床の限局性血管性障害患者38例をX線CT, MRIによる病変部位から5群に分類し, 16例についてPETを施行した.視床前内側部病変群では自発性低下, 記憶障害, 読み書き障害を呈し, 同側の前頭葉, 側頭葉, 頭頂葉におよぶ大脳の広範な血流および酸素代謝の低下を認めた.視床背外側部病変群の内ataxic hemiparesisを呈した症例では同側の前頭頭頂葉または側頭葉の血流および酸素代謝の低下を認めた.視床後腹側核の限局性病変群では手口感覚症候群あるいは片側上下肢末梢の感覚障害がみられ, 同側の頭頂葉または側頭葉の血流および酸素代謝の低下を認めた.視床枕を含まない視床後外側部病変群では古典的視床症候群を呈したが視床痛はみられず, 同側の前頭頭頂葉と側頭葉の血流および酸素代謝の低下を認めた.視床枕を含む視床後外側部病変群では全例で視床痛を呈し, 前群の所見に加えて側頭葉下内側部にも血流および酸素代謝の低下がみられた.以上から視床の限局性障害に伴う大脳の血流および酸素代謝の低下がこれらの神経症候の発現に関連することが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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