脳卒中
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脳神経外科治療上の脳動脈瘤評価に対するヘリカルCTの有用性
特に脳血管撮影と比較して
明石 克彦加藤 庸子佐野 公俊小倉 祐子神野 哲夫
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1996 年 18 巻 1 号 p. 1-9

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抄録

脳動脈瘤の検出には従来脳血管撮影が行われてきた.しかしその検査の侵襲, 所要時間などから近年低侵襲, 短時間で生体を高速, 連続的に検査可能なヘリカルスキャンCT (Helical scanning CT : HES-CT) が普及してきた.我々は動脈瘤の描出能並びに脳神経外科領域への応用の点から脳血管撮影とHES-CTとを対比検討した.対象は64例83瘤で, うち破裂脳動脈瘤は37例である.脳血管撮影の動脈瘤検出率は97.6%でfalse negativeは前交通動脈のblister aneurysmsの1例と血栓化椎骨動脈瘤の2例であった.HES-CTの動脈瘤検出率は96.4%で, false negativeは3瘤で全例, 床突起下の内頸動脈眼動脈分岐部小動脈瘤であった.形状, 瘤内表示, 周囲血管や骨との相互関係からみた動脈瘤の総合的診断価値はHES-CTの方が脳外科治療の観点にたち優れていると思われた.HES-CTの利点は特に前交通動脈領域の血管の重複する部位や椎骨脳底動脈系の動脈瘤診断に優れ, 動脈瘤頸部や瘤内部構造の評価が可能な点にあった.また3-D切削プログラムによる任意, 多方面からの高度な脳神経外科手術の術前シミュレーション像が得られた.以上より脳神経外科治療の立場から, 動脈瘤の形状把握, アプローチの選択, 治療方法の決定にHES-CTは従来の血管撮影に比し総合的な診断価値が高いと思われた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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