1996 年 18 巻 1 号 p. 44-47
本邦の脳梗塞患者82例および非虚血性疾患の患者33例 (合計115例) においてactivatedprotein C ratio (activated protein C添加時APTT/非添加時APTT) の測定および遺伝子異常 (第V因子のArg506→Gln) の有無につき検討した.その結果, 繰り返し測定でratioが2.0未満を示す例はなかった.欧米の報告では, APC resistance (APC-R) 例の大部分は第V因子のexon10のArg506 (CGA) のGln (CAA) への変異が原因とほぼ確証されている.本邦115例でこの遺伝子変異の有無につき検討したが, 変異を示す症例は存在しなかった.従って, 日本人においてAPC resistanceの頻度は非常に少ないものと考えられた。