脳卒中
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両側後頭葉病変による大脳性色覚障害の1例
小松本 悟大庫 秀樹五十棲 一男横塚 仁奈良 昌治
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1997 年 19 巻 3 号 p. 236-240

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抄録

症例は73歳男性で, テレビを見ていたとき突然テレビの画面の色が白黒になった.その後も色彩が判断できず, 視野に映るものは白黒の濃淡で識別していた.相貌失認, 地誌的失見当, 着衣失行等は認めず, 視力は保たれていたが, 軽度の右同名半盲を認めた。色覚検査では以下の如くであった.物体の識別, 認知はすべて白と黒の濃淡でなされるため明度の配列は正確であった.色の命名は黒と白は可能で, 赤は茶色, 黄色は白ということが多く, 他の色は白と黒の濃淡でのみ表現した.頭部MRIでは, 両側後頭葉底面に脳回に沿った出血性梗塞を認め大脳性色覚障害の病巣を考える上で示唆に富む症例と思われた.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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