1998 年 20 巻 2 号 p. 244-248
Binswanger脳症33例において夜間降圧障害の意義を臨床的に検討した.24時間血圧測定(30分毎)において,non-dipper(夜間平均血圧≧昼間平均血圧)は16例(48.5%)にみられ,ラクナ型脳梗塞(18.4%)より高頻度であった.本疾患の中でもnon-dipper例はdipper例より野菜名想起,かなひろいテスト,歩行能力の障害が強かった.non-dipper例は脳MRI上の脳室周囲高信号域,大脳皮質や脳幹の小高信号の程度が強かったが,MR angiography上の脳内大血管病変や頸動脈エコー上のプラークの程度はdipper例と差がなかった.本疾患におけるnon-dipperは病態の進行を意味し,大脳白質をはじめとする脳内小血管病変がその出現に関与すると考えられた.