脳卒中
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経頭蓋カラードプラ法にて経過を観察しえた中大脳動脈分枝閉塞再開通例
猪原 匡史柳原 千枝西村 洋
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1998 年 20 巻 5 号 p. 517-521

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抄録

経頭蓋カラードプラ法(TC-CFI)で血栓溶解療法後の再開通を確認した中大脳動脈(MCA)分枝閉塞例を報告した.症例は50歳男性.超皮質性全失語と右片麻痺で発症し,TC-CFIで左M1部の平均血流速度(MV)が右M1部MVの半分以下に低下しており,左MCA分枝閉塞と考えられた.脳血管撮影でも分枝閉塞が確認されたが,MRAでは証明されなかった.塞栓性機序が予想され,経静脈的に血栓溶解療法を施行し,緩徐に神経脱落症状の改善をみた.その後のTC-CFIで左M1部のMV正常化が観察され,再開通と診断した.TC-CFIは動脈の同定が容易で,入射角度で補正した血流速度が得られるため,狭窄や閉塞の診断が正確であり,血栓溶解療法後の再開通の診断にも有用である.これまでTC-CFIでMCA分枝閉塞の再開通を診断した報告はなく,貴重な症例と考え報告した.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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