脳卒中
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2.虚血性脳血管障害の新たな危険因子
α-1-antichymotrypsinの変異と虚血性脳血管障害
津田 道雄立川 浩篠原 幸人
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1999 年 21 巻 4 号 p. 379-382

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抄録

脳梗塞患者におけるα-1-antichymotrypsin(ACT)変異体であるACTIsehara-1の出現頻度について検討した.
脳梗塞患者87名(男性57名,女性30名,平均58±13歳)とコントロール群443名(男性293名,女性150名,平均54±9歳)を比較した.脳梗塞患者群87名のうち,11名でACTIsehara-1を有していた(12.6%)のに対して,コントロール群では443名中の25名(5.6%)にしか過ぎず,統計学的に有意であった(p=0.018, odds ratio=2.42, 95%CI=1.14-5.12).今回の検討では,高血圧,糖尿病および高脂質血症とACTIsehara-1は明らかな相関を示さなかった。脳梗塞の分類上,ラクナ梗塞にACTIsehara-1の出現頻度が高い傾向がみられた.以上の事から,変異ACTの量的または質的異常が脳血管障害の危険因子となる可能性が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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