脳卒中
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地域住民における頸動脈硬化所見の出現状況とその関連要因に関する疫学的研究
北村 明彦飯田 稔今野 弘規嶋本 喬
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2000 年 22 巻 2 号 p. 320-328

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抄録
地域の高齢男子住民を対象として,頸部エコー検査を実施し,頸動脈硬化の実態とその関連要因について検討した.分析対象は,秋田農村,高知農村,大阪近郊地区において,循環器検診を受診した男子65~74歳,計419人である.その結果,(1)総頸動脈体部の最大IMTが1.1mm以上の頻度は25~30%,球部~内頸動脈の最大IMTが1.5mm以上の頻度は40~55%を占めた.(2)秋田,高知の方が大阪に比し,最大IMTの平均値,及び総頸動脈血管径は高値を示し,その背景として高血圧の長期間の影響が最も関連していると考えられた.(3)高血圧者の多い秋田+高知では,球部~内頸動脈のIMT肥厚に対し,高血圧,及び喫煙が有意のリスクファクターとなった.一方,コレステロールレベルの高い大阪においては,総頸動脈体部のIMT肥厚と血清総コレステロール高値,及びHDLコレステロール低値との有意の関連が認められた.頸部エコー検査を健診に導入する意義は大きいと考える.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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