脳卒中
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2.脳動脈瘤治療におけるPKD1遺伝子解析の有用性
本望 修秋山 幸功佐々木 祐典上出 廷治端 和夫
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2000 年 22 巻 3 号 p. 457-461

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抄録

過去の疫学的研究より,脳動脈瘤の発生機序に遺伝的因子が強く関わっている群の存在が示唆されている.今回われわれは,脳動脈瘤患者におけるPKD 1geneの異常を解析し,脳動脈瘤発生への関与を検討した.脳動脈瘤患者38名の末梢血白血球より抽出したgenomic DNAのPKD 1geneの遺伝子変異を検索した.また,変異が認められたものに関しては,全塩基配列を決定した.結果は,多発性嚢胞腎症の既往がない多発性脳動脈瘤患者にPKD 1gene変異を高率に認めた.PKD 1 geneに変異を認めた多発性脳動脈瘤患者2人は,いずれも脳動脈瘤破裂で発症し,動脈瘤は両側MCAに鏡面像を呈して存在していた.以上,PKD 1 geneの変異は多発性嚢胞腎症を発症していない患者においても脳動脈瘤発生の危険因子である可能性があり,今後の更なる検討が必要である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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