脳卒中
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脳血栓症治療薬argatrobanのplasminogen activator inhibitor-1 (PAI-1)低下作用の検討
秋澤 暢達杉原 浩鴨川 旭柳澤 俊之高橋 洋一
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2001 年 23 巻 3 号 p. 240-247

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抄録

Argatrobanの線溶系への影響について基礎的検討と臨床的検討を行った.ヒト臍帯静脈血管内皮細胞を培養後,argatrobanを添加し,培養液中と細胞内のplasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)とtissue plasminogen activator(t-PA)を測定した.また急性期のアテローム血栓性脳梗塞患者(ATI)とbranch atheromatous disease患者(BAD)を対象にargatrobanで治療し,経時的にPAI-1,t-PAとトロンビン.アンチトロンビンIII複合体(TAT)を測定した.培養8日目の培養液中,細胞内ともPAI-1は対照に比し有意の低値を示したがt-PAは差を認めなかった.ATI患者血中PAI-1は第1病日88.9±60.4ng/mlと高値で治療開始後,有意の低下を示し正常域内となった.BAD患者では治療前後を通じ正常域内であった.以上からargatrobanによる血管内皮細胞内でのPAI-1合成抑制が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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