脳卒中
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高血圧治療と脳卒中再発~PROGRESSより~
松本 昌泰
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2002 年 24 巻 4 号 p. 519-524

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抄録
従来より慢性期の脳血管障害例では脳循環予備能の低下が明らかとされ,なかでも頭蓋内外の脳主幹動脈に閉塞性病変を有する症例では顕著な脳循環予備能の低下が観察されている.このため,脳血管障害例の降圧療法については,降圧の是非やその程度などについての議論が数多くなされてきたが,再発予防のための目標降圧レベルの設定などに関する確固たるエビデンスは皆無の状態が続いていた.この状態に終止符を打つ大規模臨床試験が脳卒中慢性期例を対象に実施されたPROGRESS研究である.すなわち,エントリー時の147/86mmHgから従来の治療に加えてペリンドプリル(4mg/日)や降圧利尿薬であるインダパミド(2mg/日)の追加投与により血圧を138/82mmHg程度に持続的に降下させることにより,平均年齢64歳の患者で4-5年間で28%ものさらなる再発抑制効果が得られることが初めて実証された.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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