脳卒中
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慢性期脳卒中患者における高感度CRP,インターロイキン6の上昇
スタチン製剤の影響,病型について
佐藤 美佳長田 乾佐藤 雄一前田 哲也中瀬 泰然
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2004 年 26 巻 3 号 p. 423-429

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抄録

慢性炎症は動脈硬化の主要要因のひとつであり,高感度C反応性蛋白(HSCRP)は心脳血管疾患の強力な予知因子で,冠動脈疾患ではスタチン製剤により改善すると報告されている.我々は,慢性期脳卒中患者の炎症性マーカー,脂質代謝を測定し,スタチン製剤の影響,病型による相違を検討した.
対象:発症より6カ月以上経過した慢性期脳卒中(脳梗塞,脳出血)群(S)189人,無症候性脳梗塞群(A)41人と対照群(C)63人を対象とした.心原性脳塞栓症や急性・慢性炎症性疾患は除外した.血清中のHSCRP,インターロイキン6(IL-6),脂質代謝等を測定し比較検討を行った.
結果:S群,A群をスタチン製剤内服の有無で比較すると,内服群でIL-6が有意に低値であった.非内服者のみの検討では,S群はC群に比べHSCRP,IL-6,白血球数が有意に高く,high-density lipoproteinが低値であった.
考察:慢性期脳卒中患者は炎症性マーカーが亢進しており,冠動脈疾患と同様にスタチン製剤による改善が期待できる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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