脳卒中
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亜急性期Post-stroke Depression (PSD)の実態の検討
特にその適正な評価法について
加治 芳明平田 幸一江幡 敦子
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2004 年 26 巻 3 号 p. 441-448

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抄録
脳卒中後のうつ状態(post-stroke depression: PSD)の存在が大きな注目をあびている.2003年,日本脳卒中学会からPSDをはじめとした脳卒中後の気分障害の状態評価のための脳卒中うつスケール(JSS-D)が作成された.われわれは脳卒中亜急性期症例50名に対し各種うつスケールを施行し,PSDの有病率と評価の妥当性につき検討を行った.評価尺度としてはJSS-Dに加えDSM-IVに基づいたMINI構造化面接法(MINI),Hamilton Depression Scale (HAM-D)及び自己記入式のZung Self-Rating Depression Scale (SDS), Beck Depression lnventory (BDI), Geriatric Depression Score (GDS)を使用した.結果,PSDの時点有病率は16%程度であった.また各種スケールのうちHAM-DはJSS-Dに最も強い相関がありこれはJSS-DがPSDの評価における充分な信頼性がありPSDの診断にもっとも有効性が高いことを示したものと考えられた.また,従来より汎用されているSDSも項目の選別によりPSDの診断に有用なことが示され,SDSの選択項目とJSS-Dを併用することによりPSDの診断が比較的容易に行える可能性があると思われた.
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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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