脳卒中
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脳血管障害後遺症における血液の通過性
特に赤血球変形能とATP含量について
作田 茂高松 滋佐藤 敬水野 成徳東海林 文一郎
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1981 年 3 巻 3 号 p. 225-233

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抄録

脳血管障害における微小循環不全に注目し, 脳血管障害後遺症患者48例と脳血管障害がない対照116例の肘静脈血について血液の通過性を測定した.血液の通過性の指標としてReidらの方法によるDeformability Index (DI) を取り上げた.またDIと同時にいくつかの血液成分も測定してDIへの影響を観察した.DIおよびATPは対照・患者のいずれでも加齢とともに低下し, またDI, ATPともに患者の値は比較したどの年代でも対照より低値であった.DIとATPとの間には対照・患者ともに有意の正の相関関係がみられた.DIは対照でhematocrit, hemoglobin, fibrinogen, lactateとの間に有意の負の, 患者ではalbuminとの間に有意の正の相関関係を示した.DIと血小板粘着能との間には, 対照・患者のいずれでも一定の関係はみられなかった.
DIは赤血球変形能や血液粘度に関係する血液成分との間に密接な関係を示しており, 脳血管障害後遺症における血液の通過性を反映する指標として臨床的に有用であると言える.

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