脳卒中
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脳血管障害患者の網膜血管 Autoregulationに関与する因子について
立花 久大石川 良樹後藤 文男
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1981 年 3 巻 4 号 p. 417-426

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抄録

脳循環autoregulationを推定し得る網膜血管反応性の立場より, 脳血管障害患者のautoregulation障害に関与する因子につき検討した。天幕上脳梗塞 (CVD) 23例と正常対照群20例につき, 眼底カメラを用い潅流圧変動に対する網膜血管の反応性を検討した.潅流圧変動は横臥位より立位への体位変換により行なった。結果 : CVDの網膜血管反応性は対照群に比し有意に低下し, 発作からの期間とは正の相関, 起立時の血圧下降とは負の相関を示した.病巣の大きさよりも部位 (皮質病変より皮質下病変で反応性低下大) との相関を示す傾向がみられた.年齢, 発作回数, 高血圧症の有無, 糖代謝異常, ヘマトクリット値, 血沈値, 総コレステロール値, 眼底所見等とは明らかな相関関係を認めなかった。以上, 網膜血管反応性からみたCVDのautoregulation障害度と最も密接な関係を示したのは, 発作後の日数と起立性血圧下降の程度である.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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