脳卒中
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ウイリス動脈輪閉塞症小児における年齢と脳循環
一過性脳虚血症状の関係
成冨 博章澤田 徹田川 哲三清水 寛金子 尚二
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1983 年 5 巻 3 号 p. 165-172

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抄録

一過性脳虚血発作 (TIA) 型ウイリス輪閉塞症小児 (3~16歳, n=13) および成人TIA症例 (n=29) の局所脳血流量 (rCBF) を測定し, ウ症のTIA出現における年齢と脳循環の役割を検討した.ウ症小児のrCBFは成人TIA群に較べ有意に高く, 中でもTIAを頻発中の低年齢児で最高であった.rCBFは加齢とともに減少したが, これにともないTIA頻度は減少した.ウ症小児では悌泣や過呼吸によりTIAが誘発されるのが特徴的であった.しかし過呼吸時に測定したウ症小児のrCBFは成人TIAのそれより高値を示した.10歳未満小児期の脳代謝は成人期に較べ著しく高いことが知られているが, このような小児期の脳機能を正常に保つためには成人より高いレベルの脳血流量が必要である可能性が強い.ウ症小児, 特に10歳未満例にTIAが起こりやすいことの背景にはこの年代の脳の代謝要求が高いことが関与している可能性がある.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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