脳卒中
Online ISSN : 1883-1923
Print ISSN : 0912-0726
ISSN-L : 0912-0726
脳梗塞と他臓器障害
大友 英一
著者情報
ジャーナル フリー

1984 年 6 巻 1 号 p. 18-21

詳細
抄録

脳梗塞と他臓器障害との関連を剖検例について検討した.対象は過去約20年における浴風会病院の連続剖検例2,193例 (男720例, 女1,473例) であり年齢は60~99歳, 平均80.0±7.0歳 (男78.4±7.0歳, 女80.8±6.9歳) である.対象となった脳梗塞は454例 (60~98歳, 平均78.8±7.1歳), 脳出血は215例 (61~95歳, 平均76.6±6.8歳) である.
大脳梗塞は年代の進むにつれて減少傾向を示し, 中等大脳梗塞は年代の進むにつれて増加する.一方, 多発性脳梗塞は年代の進むにつれて明らかに減少する.脳出血では大出血, 中等大出血とも年代の進むにつれて減少を示し, とくに大出血で明らかである.1960年連続剖検例の約10%を占めていた致死的大出血は1970年約6%, 1980年約1%と激減している.剖検脳においてもかつては梗塞巣とともに散在していた小出血, 点状出血巣も稀なものとなってきており, 脳自体が変ったとしかいいようのない状態である.この原因は明らかではない.浴風会病院では20年前既に現在と同じような高血圧の管理を行っており, とくに変っていない.

著者関連情報
© 一般社団法人 日本脳卒中学会
前の記事 次の記事
feedback
Top