抄録
クモ膜下出血後水頭症28例において, 腰部髄液圧の持続測定を行い, 髄液圧と圧波, 臨床症状との相関について検索した.
髄液圧は意識障害の高度な群や正常圧水頭症群では無症状群より高い基礎圧を示す傾向にあったが, 有意差はなかった.基礎圧の高さと出血後の期間でも有意の差を認めなかった。圧波は基礎圧が高いほど頻発し, B波が主体をなしていた.しかし, 無症状群の中に圧波の出現をみる例や, 正常圧水頭症で短絡術有効にもかかわらず, 基礎圧が低く, 圧波の出現しない例もみられた.以上により, 正常圧水頭症の症状発現と頭蓋内圧の関係は必ずしも一定ではなく, 症状発現には脳血流, 脳代謝の因子も関与していると考えられた.