脳卒中
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成熟と若年gerbil間における虚血後脳浮腫の違いについて
包 仕尭成冨 博章澤田 徹新美 次男福島 雅司
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1985 年 7 巻 4 号 p. 299-305

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抄録

生後5-6週の若年gerbilおよび生後6ヵ月以上の成熟gerbilの一側総頸動脈を6時間閉塞し, 血行再開3時間後の脳浮腫の程度を比較検討した.実験は閉塞により虚血症状が出現した動物についてのみ行ない, 6時間虚血時, 9時間虚血時の脳浮腫の程度についても検討した.6時間, 9時間虚血時の閉塞半球脳水分含量は両群いずれも有意に増加しており, 両群間に差がなかった.血行再開後, 成熟群では著明な脳浮腫の増悪, 血液脳関門 (BBB) 障害が見られた.しかし若年群では脳浮腫増悪は起こらず, BBBの障害も見られなかった.他の群で行なった脳血流測定結果では, 頸動脈閉塞中のrCBFは両群ほぼ同程度に低下していた.血行再開後は若年群でより強いhyperemiaが認められた.若年期の脳では成年期の脳に比べ虚血後脳浮腫が起こり難いと考えられる.その背景には若年脳のBBBの虚血に対する抵抗性が強いことなどが関与していると考えられる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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