脳卒中
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7 巻 , 4 号
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  • 岩本 俊彦, 勝沼 英宇, 荒木 五郎, 柚木 和太
    1985 年 7 巻 4 号 p. 291-298
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳血管撮影にて内頚動脈閉塞を認めた105例および中大脳動脈閉塞246例のうちCTにて梗塞巣が基底核部に限局していた57例について, その臨床症状・CT所見・一部脳血流量・脳波を検討し, 次の成績を得た.1) CT所見 : OM-line上5cm±1cmの面で低吸収域長径の大きさが1.6cm以上のものは40例であった.型の多くは類円形で, レンズ核・内包に, 一部尾状核頭部に分布していた.これらの88%は基底核・内包より半卵円中心に及ぶ低吸収域の拡大を伴っていた.2) 臨床症状 : 運動障害高度のものは上肢で60%, 下肢で32%にみられ, また15例に失語症, 16例に半盲症を認め, pure motor hemiplegiaは全体の約1/3であった.3) γCBF : 133Xe動注法を19例に施行, 血流低下を15例に認めた.4) CME : 18例にのべ35回施行, 異常所見を全例29回に認めた.以上から主幹動脈閉塞による基底核・内包付近の梗塞では, 皮質枝領域の血流低下を伴っていることが多い.
  • 包 仕尭, 成冨 博章, 澤田 徹, 新美 次男, 福島 雅司
    1985 年 7 巻 4 号 p. 299-305
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    生後5-6週の若年gerbilおよび生後6ヵ月以上の成熟gerbilの一側総頸動脈を6時間閉塞し, 血行再開3時間後の脳浮腫の程度を比較検討した.実験は閉塞により虚血症状が出現した動物についてのみ行ない, 6時間虚血時, 9時間虚血時の脳浮腫の程度についても検討した.6時間, 9時間虚血時の閉塞半球脳水分含量は両群いずれも有意に増加しており, 両群間に差がなかった.血行再開後, 成熟群では著明な脳浮腫の増悪, 血液脳関門 (BBB) 障害が見られた.しかし若年群では脳浮腫増悪は起こらず, BBBの障害も見られなかった.他の群で行なった脳血流測定結果では, 頸動脈閉塞中のrCBFは両群ほぼ同程度に低下していた.血行再開後は若年群でより強いhyperemiaが認められた.若年期の脳では成年期の脳に比べ虚血後脳浮腫が起こり難いと考えられる.その背景には若年脳のBBBの虚血に対する抵抗性が強いことなどが関与していると考えられる.
  • 熊谷 芳夫, 峰松 一夫, 長木 淳一郎, 田代 幹雄, 山口 武典
    1985 年 7 巻 4 号 p. 306-313
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    一定の臨床的診断基準により診断された脳塞栓 (塞栓群) 43例および血栓性脳動脈閉塞症 (血栓群) 43例を対象として, 発症より1ヵ月以上経過した時点での133Xe吸入法による局所脳血流量測定を行った.今回対象となった2群の歩行能力から見た重症度はほぼ一致していた.CT上の梗塞巣の広がりは塞栓群の方が有意に大であったが, 病巣側, 非病巣側それぞれの半球平均脳血流量 (mCBF) は2群間で差がなかった.両群とも病巣側mCBFは非病巣側mCBFに比べ有意に低値であった.転帰を歩行可能と不能とに分けた場合, 歩行可能例のmCBFは不能例のそれに比べ高値であり, 転帰が同じ場合には塞栓群, 血栓群といった病型によるmCBFの差はなかった.両群とも年齢とmCBFとの間に有意の負の相関があり, 塞栓群においてCT上の梗塞巣の広がりとmCBFとの間に強い負の相関が見られた.この2群における慢性期の局所脳血流量の臨床的意義とその差異について考察した.
  • 小島 精, 和賀 志郎, 坂倉 允, 岡田 昌彦, 久保 和親
    1985 年 7 巻 4 号 p. 314-320
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    過去5年間に経験した35例の大脳皮質下出血の病態および予後を検討した.35例の治療は保存的治療が22例, 手術的治療が13例で6ヵ月後のADLI, IIに入るものは保存的治療群で16例 (73%), 手術群では8例 (67%) で, 治療方法による予後の変化はなかった.出血部位は側頭葉が43%と多く頭頂葉が14%と少なかったが出血部位で予後は変化しなかった.この他発症時の神経症状とADL, CT上の血腫の大きさとADL, CT上のherniation signとADL等の関係を保存的治療群, 手術群で比較したが, いずれの因子も保存的治療と手術治療で予後に差異を認めず, 神経症状の悪いもの, 巨大な血腫, herniation signのあるもののADLは悪かった.今回の検討より, (1) 大脳皮質下出血の多くは保存的治療で良好な結果が得られる. (2) herniationの結果急速に状態の悪化する例では迅速な手術による血腫除去が必要であるとの結論を得た.
  • 河野 兼久, 榊 三郎, 桑原 寛人, 松岡 健三, 郷間 徹
    1985 年 7 巻 4 号 p. 321-329
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳動静脈奇形35症例中, 6症例 (17.1%, 男6例, 平均年齢55歳) に計9個の脳動脈瘤の併存を認めた.脳動脈瘤は全て脳動静脈奇形と血行動態上の関連をもつ部位に発生しており, 脳動脈瘤発生におけるhemodynamic stressの重要性を示唆していた.6例中1例のみが痙変発作を主訴とし, 両者への根治手術を行い全快した.他の5例は全て脳動脈瘤破裂による頭蓋内出血にて発症し, その出血部位の診断にはCT scanが有用であった.3例に脳動脈瘤neck clippingのみ (2例は早期手術, 1例は待期手術) 行い, 残る2例に脳室ドレナージを施行し待期したが, 早期手術を施行した2例に一応の成果が得られたのみで, 待期した3例はいずれも2週間以内に脳動脈瘤からの再出血をおこし死亡した.故に両者の合併症例において脳動脈瘤が出血源の場合, 脳動静脈奇形のoperabilityに関係なく, 破裂脳動脈瘤への早期根治手術がより重要と思われる.
  • 寺井 敏, 脇 理一郎, 山口 武典, 熊谷 芳夫
    1985 年 7 巻 4 号 p. 330-335
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    特定の基礎疾患の見られない心房細動における塞栓症の発症について, 心エコー図などを用いた病態生理, およびその臨床経過の特徴を検討した.
    心房細動を有し, 脳塞栓を発症したものと発症していないものの間に, 左房径, 左室拡張終期容量, 左室駆出率などの差はみられなかった.このことから, 左房の拡大や左心機能の低下は必ずしも塞栓症の発症には関与しないものと思われた.また, 今回対象とした脳塞栓例において心内血栓はいずれにも認められなかったことなどから, 脳塞栓発症の情報を心エコー図から得ることは困難と思われた.脳塞栓例の臨床経過では, 慢性持続性心房細動を有するものの50%, 発作性心房細動を有するものの20%にTIAを含めた脳梗塞の既往が認められた.このことから, 心房細動を有する患者で過去にTIAあるいは脳梗塞の既往のあるものは, それにつづく脳塞栓が十分に起こりうるものと思われた.
  • 間部 英雄, 梅村 訓, 吉田 毅, 永井 肇
    1985 年 7 巻 4 号 p. 336-343
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳虚血時における血糖値が血流再開後の脳機能, 脳エネルギー代謝および病理組織学的変化, 更には膜リン脂質の崩壊に及ぼす影響について検討した.ラットで4-vesselocclusionにmildな低血圧を加えることにより, 30分間の両側大脳半球の虚血を作製したのち, 120分間の血流再開を行なった.虚血開始前の血糖値により, group1 (平均149mg/dl), group2 (平均373mg/dl), group3 (平均788mg/dl) の3群に分けた.虚血中は3群共脳波はisoelectricであった.group1では血流再開後平均24分で, group2では平均52分で脳波が再出現し始めたが, group3ではほとんど再出現しなかった.高血糖群では, 血流再開120分後の虚血性組織変化が著明であった.血流再開120分後のATP含量は, 高血糖群では, 正常血糖群に較べて低値を示した.脳虚血時の遊離脂肪酸の増加は3群間に差を認めなかった.脳虚血中の血糖値が血流再開後の脳組織傷害と密接に関連していることが示唆された.
  • 大田 純夫, 山口 武典, 緒方 絢, 伊藤 守, 菊池 晴彦
    1985 年 7 巻 4 号 p. 344-350
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2010/01/22
    ジャーナル フリー
    Megadolichobasilar anomaly (MDBA) は脳底動脈が過度に延長, 蛇行, 拡大した状態に対して名付けられたもので, 最近はCTによって比較的容易に発見されるようになった.今回われわれはCTおよび脳血管撮影により確診しえたMDBAと腹部大動脈瘤の合併例を経験し, 同時にそのmagnetic resonance imaging (MRI) を得ることができた.症例は10年来の高血圧歴のある41歳男性で, 軽度の左片麻痺と構音障害を主訴として受診.CT, 血管撮影にて, 動脈硬化性変化が主因と思われるMDBA, megadolichocarotid anomaly, および腹部大動脈瘤の合併例と診断された.本症例では脳底動脈の延長, 蛇行, 拡大に加え, CT上血管壁の著明な肥厚と腫瘤状陰影を呈していた.このような像を呈したMDBAの報告は, 調べた限り見当らなかった.またMRIで更に詳細な像が得られたが, 本症の診断・成因に関してMRIは新しい知見を提供してくれるものと期待される.
  • 荒木 信夫
    1985 年 7 巻 4 号 p. 351-358
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    脳軟膜動脈より導出した活動電位がいかなる種類の神経線維に由来するかを明らかにする目的で, ノルアドレナリン作動神経系の関与について検討した. [対象および方法] 成猫15匹を用い, ノルアドレナリン作動神経終末部に働き, dopamine-β-hydroxylaseを阻害する作用のあるフサリン酸を頚動脈内に投与した際の脳軟膜動脈活動電位の変化, および脳灌流圧変化に対する脳軟膜動脈活動電位の反応性を, 電気生理学的手法により検討した. [結果] (1) フサリン酸投与後, 全例において脳軟膜動脈活動電位の放電頻度は有意に減少した. (2) フサリン酸投与後の脳軟膜動脈活動電位の血圧変動に対する反応性は, フサリン酸4mg/kg以下の投与例では保たれていたが, フサリン酸8mg/kg以上の投与例では, 投与10~80分後に消失した. [結論] 脳軟膜動脈より導出した活動電位は, ノルアドレナリン作動神経, とくにその終末部と密接に関係していると考えられる.
  • 鈴木 龍太, 山口 武兼, 稲葉 穰, Choh-Luh Li, Igor Klatzo
    1985 年 7 巻 4 号 p. 359-365
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    Mongolian gerbilに5分間の両側総頚動脈 (CCA) 閉塞を行ない脳虚血を作成し, その後の病理組織脳血流 (rCBF), 脳グルコース代謝 (LCGU) 及び神経細胞自発活動電位 (SNA) の変動を観察した.病理学的に脳皮質神経細胞 (CorN) は変化を生じなかったが, 海馬CA1subfieldの神経細胞 (CA1N) は徐々に変化をきたし3日後に崩壊した.rCBFは脳皮質, 海馬ともに虚血侵襲は同等であり, 血流再開直後にhyperemiaを, また10分後にはhypoperfusionをきたし, その後回復した.LCGUは海馬で血流再開後24時間迄異常高活性を認めた.SNAは虚血中消失し血流再開後CorN, CA1Nともに回復した.CorNはその後も通常活動を続けたがCA1Nは24時間迄異常興奮を示し48時間で機能的に死亡した.以上から我々は脳虚血後の神経細胞の機能的回復は必ずしもその細胞の機能可逆性や復元性を意味しないこと, また虚血後の機能低下はその細胞の内外環境への何らかの対応により, 可逆性をもたらす可能性があると推論した.
  • 大里 孝夫, 中川 翼, 阿部 弘, 松崎 道幸, 井出 肇
    1985 年 7 巻 4 号 p. 366-370
    発行日: 1985/08/25
    公開日: 2009/09/03
    ジャーナル フリー
    大動脈炎症候群は頸部血管にも好発し, 種々の脳虚血症状をひきおこすことは既に知られている.しかし本症における頭蓋内血管に関する文献的記載は非常に乏しく, 十分な検討がなされてきたとは言えない.今回我々は下行大動脈型大動脈炎の患者で, 経過中3度のTIAをきたし両側中大脳動脈の閉塞を認めた1例を経験した.若年女性で, 両側とも症状的にはTIAに留ったこと, TIAの時期に一致して炎症反応の再燃を認めたこと, 栓塞症や他の血管炎は否定的であったこと, などから, この中大脳動脈病変は大動脈炎症候群の一環として生じたものと考えられた.本症における四肢末梢筋型動脈病変の報告が注目されてきている現在, 疾患概念の検討上極めて興味ある1例と思われた.
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