Mongolian gerbilに5分間の両側総頚動脈 (CCA) 閉塞を行ない脳虚血を作成し, その後の病理組織脳血流 (rCBF), 脳グルコース代謝 (LCGU) 及び神経細胞自発活動電位 (SNA) の変動を観察した.病理学的に脳皮質神経細胞 (CorN) は変化を生じなかったが, 海馬CA
1subfieldの神経細胞 (CA
1N) は徐々に変化をきたし3日後に崩壊した.rCBFは脳皮質, 海馬ともに虚血侵襲は同等であり, 血流再開直後にhyperemiaを, また10分後にはhypoperfusionをきたし, その後回復した.LCGUは海馬で血流再開後24時間迄異常高活性を認めた.SNAは虚血中消失し血流再開後CorN, CA
1Nともに回復した.CorNはその後も通常活動を続けたがCA
1Nは24時間迄異常興奮を示し48時間で機能的に死亡した.以上から我々は脳虚血後の神経細胞の機能的回復は必ずしもその細胞の機能可逆性や復元性を意味しないこと, また虚血後の機能低下はその細胞の内外環境への何らかの対応により, 可逆性をもたらす可能性があると推論した.
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