脳卒中
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脳虚血後の脳機能, 脳代謝および脳組織変化に対する血糖値の影響
間部 英雄梅村 訓吉田 毅永井 肇
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1985 年 7 巻 4 号 p. 336-343

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抄録

脳虚血時における血糖値が血流再開後の脳機能, 脳エネルギー代謝および病理組織学的変化, 更には膜リン脂質の崩壊に及ぼす影響について検討した.ラットで4-vesselocclusionにmildな低血圧を加えることにより, 30分間の両側大脳半球の虚血を作製したのち, 120分間の血流再開を行なった.虚血開始前の血糖値により, group1 (平均149mg/dl), group2 (平均373mg/dl), group3 (平均788mg/dl) の3群に分けた.虚血中は3群共脳波はisoelectricであった.group1では血流再開後平均24分で, group2では平均52分で脳波が再出現し始めたが, group3ではほとんど再出現しなかった.高血糖群では, 血流再開120分後の虚血性組織変化が著明であった.血流再開120分後のATP含量は, 高血糖群では, 正常血糖群に較べて低値を示した.脳虚血時の遊離脂肪酸の増加は3群間に差を認めなかった.脳虚血中の血糖値が血流再開後の脳組織傷害と密接に関連していることが示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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