1985 年 7 巻 5 号 p. 402-410
N-isopropyl-p- [123I] iodoamphetamine (IMP) とシングルフォトンエミッションCT装置により, 脳血管疾患20例の局所脳血流を三次元的に測定した.急性期6例では, X線CT上の低吸収域が限局していたにもかかわらず, 脳血流は周辺の脳皮質に及ぶ広範な低下がみられた.慢性期3例では, 局所脳血流低下とX線CT上の低吸収域とがほぼ一致した部位にみられた.TIA, RIND4例のうち2例で, 虚血発作の責任病巣部位に血流低下がみられた.モヤモヤ病2例は虚血型TIAの既往のみの症例であったが, いずれも病巣半球に血流の低下を認めた.脳梗塞2例で, 局所脳血流の増加がX線CT上の低吸収域あるいはその辺縁にみられた.本研究では局所脳血流の定性的検討を行い, 神経症状, X線CT, 脳血管撮影との関連を中心に虚血発作後の病態につき考察を加えた.