脳卒中
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脳幹部脳梗塞に関する実験的研究
局所脳血流量, 聴性脳幹反応と脳波の経時的変化
宇野 淳二桑原 敏松本 茂男安東 誠一石川 進
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1987 年 9 巻 4 号 p. 325-333

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抄録

犬で両側の後大脳動脈の穿通枝を閉塞すると, 上部脳幹に限局した一定範囲の梗塞巣が極めて高率に生じる.このモデルを用い, 脳幹の虚血巣及び周辺部の局所脳血流量 (rCBF), 聴性脳幹反応 (BAEP) と脳波 (EEG) を閉塞後6時間まで記録した.閉塞後rCBFは有意に減少し, 6時間後には虚血の中心部で52.5±13.3m1/100g/minより8.4±2.5m1に, 周辺部では約58m1/1009/minより約20m1に低下した.脳幹において梗塞に陥る血流閾値は13m1/100g/min前後と考えられた.BAEPは高度の意識障害にかかわらず変化に乏しかった.このモデルにおけるような中脳腹側から労正中部にかかる虚血病巣はBAEPで捉えることは困難である.EEGは9頭中7頭で低電位速波を示した.臨床におけるいわゆるβ-comaの所見と一致しており, 中脳被蓋において脳幹網様体を含む限局した病巣が関与していると思われる.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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