脳卒中
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両側内頚動脈閉塞症の臨床的検討
MRI, 臨床像, 血行動態の比較
山本 康正津田 治巳生天目 英比古秋口 一郎亀山 正邦
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1987 年 9 巻 5 号 p. 440-447

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抄録

両側内頚動脈閉塞症4例について, 臨床症状, 血行動態, X線CT, MRIによる検討を行なった.本症は過去5年間に当院に入院した脳梗塞192例のうち2.08%に相当した.1例は急性発症で, 両側中大脳動脈領域に梗塞巣を認め, 約3ヵ月後心不全により死亡した.他の3例は, 進展性脳虚血型を示した.1例はWillis動脈輪を介する側副血行に乏しく, 皮質枝吻合を介する血液供給が考えられ, 他の2例ではWillis動脈輪を介する側副血行を認めた.MRIにより, 上記の血行動態に対応した深部小梗塞, 傍側脳室部および深部白質病変, 境界領域梗塞などの各種の虚血性病変を認め, 本症における複雑な臨床症候, 血行動態, 虚血性病変成立の相互関係を理解することが出来た.また全失語の例で, X線CTでは不明確な病巣を, MRIにより確認することが出来た.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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