脳卒中
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テント上脳虚血時の小脳における脳血流自動調節能
交感神経の関与
塩川 宰佐渡島 省三吉田 富士雄藤井 健一郎藤島 正敏
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1987 年 9 巻 5 号 p. 456-462

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抄録

大脳虚血により小脳の脳血流自動調節能 (以下, 自動能) も障害される.これに交感神経がどのように関与するかを検討した.脳虚血は, 高血圧自然発症ラットの両側総頸動脈結紮により作製した.脳血流は水素クリアランス法で測定し, 脱血による血圧下降時の自動能を観察した.脳虚血作製前では大脳小脳の自動能は保たれ, α及びβ遮断薬の影響をうけなかった.脳虚血時には, 大脳の自動能は高度に障害され, いずれの遮断薬群においても30%の血圧下降により大脳血流は前値の約20%まで低下した.一方, 小脳では, 15%及び30%降圧に対し, β遮断薬群では小脳血流が降圧前値の75%, 62%に低下し, 自動能が消失したのに比し, α遮断薬群では90%, 87%と脳血流の低下はほとんどみられず, 自動能がよく保たれた.
これらの事より大脳虚血時の小脳における自動能障害には, α受容体の関与が示唆された.

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© 一般社団法人 日本脳卒中学会
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