2024 年 22 巻 2 号 p. 22-30
2024年1月1日の能登半島地震により能登北部を中心に甚大な被害を受けた.現地の医療機関や介護施設の機能は低下し,食料不足や寒冷,感染症の蔓延等もあり,入院患者や施設入所者は直ちに金沢市以南へ移送された.また要配慮者も金沢市以南への避難が推奨され,最大5,000人を超える人が二次避難した.石川県立こころの病院(当院)は災害拠点精神科病院であり,発災後急性期は積極的に入院患者を受け入れた.本稿では,まず能登での暮らしや精神障害者の様子を解説し,発災後急性期の当院への入院の状況を報告する.次に広域避難やDPAT活動について触れ,最後に発災後9カ月たった被災者の様子や今後の展望について意見を述べる.被災地の復興は遅れ,介護うつや飲酒関連問題の増加が懸念されていたが,2024年9月の豪雨災害により,改めて被災地のアセスメントが必要となった.被災者のこころのケアはこれからが本番である.