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ウイルス
Vol. 54 (2004) No. 1 June P 75-82

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http://doi.org/10.2222/jsv.54.75

特集2 [第51回ウイルス学会学術集会シンポジウム
「ウイルス学から臨床医学へ」]

HIVのワクチン開発研究は最新のウイルス学・免疫学の基礎知見に基づいて, 様々な創意工夫により取り組まれている. ただし有効なものの実用化には悲観的な空気が強い. その開発の困難さの理由の一つとしてHIVが感染する実験動物の欠如が挙げられる. 当研究室ではSIVをベースにしてHIV-1遺伝子をもちサルに感染するキメラウイルス (SHIV) を作成してきた. その中にサルには全く病原性を示さず感染防御免疫を付与する弱毒性のものがあった. 現在, それを出発材料としてヒトに応用可能な弱毒生ワクチンの開発を行っている. そもそもウイルスのワクチンでは麻疹・ポリオ等で弱毒生ワクチンが最も有効であることが示されてきた. しかし, HIVについては弱毒ウイルスが存在しうるものなのかは不明であり, 例え存在したとしても強毒化の可能性から危険視されて, その開発研究が無視されている. 果たしてHIVで弱毒生ワクチンが可能なのかどうかを当研究室におけるサルを用いたSHIVの病原性に関する研究の紹介とともにHIV/SIVの起源・進化から弱毒HIVの可能性を推論してみたい. 弱毒・強毒性を問い, 弱毒ウイルスを手に入れることは単にワクチン開発といった応用研究ではなく, 「なぜHIVがエイズを起こすのか」 といった根本命題に迫る基礎研究そのものと言えよう.

Copyright © 2004 日本ウイルス学会

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