抄録
2004/2005年シーズン,2005/2006年シーズンのインフルエンザの流行状況の解析を行った.2004/2005年シーズンの流行開始は遅く,ピークも第9週と例年よりも遅れたが,その流行規模は非常に大きく,推定患者発生数は1770万人であり,B型インフルエンザウイルスが流行の中心であった.2005/2006年シーズン(2006年第12週まで)は第50週と比較的早くにインフルエンザの流行が始まり,そのピークは例年と同様第4週であった.流行の主流はAH3型であった.
H5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスの鳥またはヒトへの感染はアジアからアフリカ,ヨーロッパにまで広がってきている.新たな変異インフルエンザウイルスの発生阻止,ヒト-ヒト感染の伝播及び拡大防止,感染の封じ込め等の目的のためには,全国の自治体及び公衆衛生機関による迅速で統一された積極的疫学調査の実施が必要不可欠である.積極的疫学調査の目的には,感染拡大防止,感染源・感染経路・感染危険因子の特定,感染リスクの評価,新たなインフルエンザウイルスの早期発見及び封じ込め,等がある.