2007 年 57 巻 2 号 p. 191-198
狂犬病ウイルスは,人および動物に致死的な神経症状を主徴とする狂犬病を引き起こす.ワクチンによって効果的に予防できるにもかかわらず,本病の世界的な流行状況は好転していない.安価で安全な弱毒生ワクチンの開発ならびに治療法の確立が本病の制圧の鍵である.この目標を達成するためには,狂犬病ウイルスの病原性発現機序を解明することが重要となる.本稿では,狂犬病ウイルスの病原性に関する現在までの研究について紹介し,これをどのように狂犬病の制御に応用するのかについて考察する.