抄録
ヒトパピローマウイルス(HPV)は子宮頸癌や尖圭コンジローマの原因となりうるウイルスである.この10年の間にHPV感染を予防できるHPVワクチンが開発され,大規模臨床試験によって多くのHPV関連疾患に対する予防効果が全世界的に証明された.HPV関連疾患で最も重要なものは子宮頸癌である.子宮頸癌の罹患率のピークは20年間で20才近く若年化し現在は2545才がピークである.がんを予防できるワクチンという観点から極めて重要な意義を持つ.ただし子宮頸癌予防に関してはその限界も理解しておく必要がある.一方,尖圭コンジローマの予防については,海外では既にpopulation impactが現れてきている.尖圭コンジローマが近い将来社会から撲滅されることも夢ではない.本稿ではHPVワクチンをレビューしたい.