ウイルス
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総説
植物感染性ポティウイルスの進化;集団遺伝構造の調査
大島 一里
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2012 年 62 巻 2 号 p. 151-160

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抄録
 ポティウイルスは植物RNAウイルスの中で,最も大きな科であるポティウイルス科に属し,その科の中でも最も大きな属を形成する.ポティウイルスは双子葉植物だけでなく単子葉植物に感染する.ポティウイルスの時間的な解析を行うと,この属のウイルスは南西ユーラシアや北アフリカ地方において,約7250年前に単子葉植物から突発的に発生した様に推測できる.ポティウイルスの一種であるカブモザイクウイルス(Turnip mosaic virus, TuMV)は主に双子葉植物であるアブラナ科の農作物に大きな被害を与えており,植物ウイルスの中でも分子進化的研究と集団遺伝構造の研究が最も進んだウイルスの一つである.TuMVとポティウイルスの進化さらにそれらの集団遺伝構造について,我々が解析に利用しているコンピューターソフトウエアーも紹介しながら解説する.
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© 2012 日本ウイルス学会
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