抄録
近年アジアやアフリカでは発展途上国の急速な発展により,今まで見られなかった人と自然界の接触の機会が増すとともに,世界の交通の進歩により人や物資の国際交流が盛んになっている.これらの状況は異種間の病原体の伝播による新興感染症の発生の可能性を高めると共に,ある地域で生じた感染症が短期間の間に世界各地に広がる危険性をもたらしている.中国はその広大な国土と多民族からなる巨大な人口をかかえるうえに,近年急速な経済発展を遂げており上記のような新興感染症の発生地となる条件を持っている.特に2003年のSARSはわれわれの記憶にも新しい.新興・再興感染症対策のためには中国と密接な連携を取ることが重要であると考えられる.ここでは東京大学医科学研究所と中国との間の感染症における共同研究について概説する.